桜の散らむは、あながちにいかがはせむ。(宇治拾遺物語)

(問)次の傍線部を現代語訳せよ。

桜の散らむは、あながちにいかがはせむ

宇治拾遺物語

現代語訳

桜が散るのは、無理に強引にどうすることができようか。いや、できない

あながちなり 形容動詞 ナリ活用

「あながちなり」の意味は主に3つです。

①強引だ・無理やりだ
②ひたむきだ・一途だ
③(下に打消し表現を伴い)必ずしも~ない

ちなり」という漢字をイメージできれば、意味はそのままの形容動詞です。

「あな」はもともとは「自己」を意味したと言われます。

「がち」は「勝ち」です。現在でも、「ためらいがち」「無駄話をしがち」などという使い方がありますが、それらは「がち」の上の語が勢いを持っていて、その傾向が強いことを意味します。

そのことから、「あながちなり」は、「相手を抑え、自分(自己)が勢いを持っていること」を意味します。「俺が! 俺が!」という状態を表すので、「強引」「身勝手」「利己的」というニュアンスになります。

「しなくていいことまで必要以上に自分が動く」ということから、回数や程度が「過度」であることも示します。そのことから「ひたむきだ」「一途だ」という訳になります。

下に打消し表現を伴うと、程度のはなはだしさを否定することになるので、「必ずしも~ない」「そうむやみには~ない」などと訳します。

いかがはせむ

いかが(副詞)+は(係助詞)+す(サ変動詞)+む(意志・推量)

ですが、きまった言いまわしとしてよく使用されるので、連語のようにみなされることも多いです。

「疑問」としてとらえれば、「どうしようか」「どうであろうか」という訳になります。

「反語」としてとらえれば、「どうしようか、いや、どうしようもない」という訳になります。

今回の例文でいうと、文脈上「反語」ですね。