本文
男もすなる日記といふものを、女もしてみむとて、するなり。
土佐日記
それの年の十二月の二十日あまり一日の日の戌の刻に､門出す。その由、いささかにものに書きつく。
ある人、県の四年五年果てて、例のことどもみなし終へて、解由など取りて、住む館より出でて、船に乗るべき所へ渡る。かれこれ、知る知らぬ、送りす。年ごろ、よく比べつる人々なむ、別れがたく思ひて、日しきりにとかくしつつ、ののしるうちに、夜更けぬ。
二十二日に、和泉の国までと、平らかに願立つ。藤原のときざね、船路なれど、馬のはなむけす。上中下、酔ひ飽きて、いとあやしく、潮海のほとりにて、あざれあへり。
品詞分解
「名詞」と「接続助詞」については言及していません。
何も書いていないところは「名詞」か「接続助詞」です。
男
も 係助詞（強意）
す 動詞（サ変・終止）
なる 助動詞（伝聞・連体）
日記
と 格助詞（引用）
いふ 動詞（ハ四・連体）
もの
を 格助詞（対象）
女
も 係助詞（並列）
し 動詞（サ変・連用）
て
み 動詞（マ上一・未然）
む 助動詞（意志・終止）
と 格助詞（引用）
て
する 動詞（サ変・連体）
なり 助動詞（断定・終止）
それ 代名詞
の 格助詞（連体修飾）
年
の 格助詞（連体修飾）
十二月
の 格助詞（連体修飾）
二十日あまり一日
の 格助詞（連体修飾）
日
の 格助詞（連体修飾）
戌
の 格助詞（連体修飾）
刻
に 格助詞（時間）
門出
す 動詞（サ変・終止）
そ 代名詞
の 格助詞（連体修飾）
由
いささかに 形容動詞（ナリ・連用）
もの
に 格助詞（場所）
書きつく 動詞（カ下二・終止）
ある 連体詞
人
県
の 格助詞（連体修飾）
四年五年
果て 動詞（タ下二・連用）
て
例
の 格助詞（連体修飾）
ことども
みな 副詞
し 動詞（サ変・連用）
終へ 動詞（ハ下二・連用）
て
解由
など 副助詞（例示）
取り 動詞（ラ四・連用）
て
住む 動詞（マ四・連体）
館
より 格助詞（起点）
出で 動詞（ダ下二・連用）
て
船
に 格助詞（対象）
乗る 動詞（ラ四・終止）
べき 助動詞（当然・連体）
所
へ 格助詞（方向）
渡る 動詞（ラ四・終止）
かれ 代名詞
これ 代名詞
知る 動詞（ラ四・連体）
知ら 動詞（ラ四・未然）
ぬ 助動詞（打消・連体）
送り
す 動詞（サ変・終止）
年ごろ
よく 形容詞（ク・連用）
比べ 動詞（バ下二・連用）
つる 助動詞（完了・連体）
人々
なむ 係助詞（強意） ＊結びの流れ
別れがたく 形容詞（ク・連用）
思ひ 動詞（ハ四・連用）
て
日
しきりに 副詞
とかく 副詞
し 動詞（サ変・連用）
つつ
ののしる 動詞（ラ四・連体）
うち
に 格助詞（時間）
夜
更け 動詞（カ下二・連用）
ぬ 助動詞（完了・終止）
二十二日
に 格助詞（時間）
和泉
の 格助詞（連体修飾）
国
まで 副助詞（範囲）
と 格助詞（引用）
平らかに 形容動詞（ナリ・連用）
願
立つ 動詞（タ下二・終止）
藤原のときざね
船路
なれ 助動詞（断定・已然）
ど
馬
の 格助詞（連体修飾）
はなむけ
す 動詞（サ変・終止）
上中下
酔ひ飽き 動詞（カ四・連用）
て
いと 副詞
あやしく 形容詞（シク・連用）
潮海
の 格助詞（連体修飾）
ほとり
にて 格助詞（場所）
あざれあへ 動詞（ハ四・已然）
り 助動詞（存続・終止）
