
今日は、「自立語」と「付属語」という概念を整理しましょう。

やってやるぞ。
自立語・付属語

まずはそれぞれの特徴をまとめておきます。
〈自立語〉
◆単独で文節をつくることができる。
◆文節の先頭にある。
◆1つの文節に必ず1つある。
〈付属語〉
◆単独で文節をつくることができない。
◆文節の先頭にはこない。
◆1つの文節に存在しないこともある。
◆1つの文節に2つ以上あることもある。

ほほう。

では自立語と付属語に分けてみますので、有名な小説の一節でも言ってみてください。
現代語でいいですよ。

どっどど どどうど どどうど どどう

宮沢賢治『風の又三郎』の冒頭ですね。
それは文というよりは風の音ですので、違う一節でお願いします。

朝だ。

リチャード・バック『かもめのジョナサン』の冒頭ですね。
まあいいでしょう。
「朝」が自立語で、「だ」が付属語です。

生きている。

ジャン・フィリップ・トゥーサン『カメラ』のラストですね。
まあいいでしょう。
自立語 自立語
生き て / いる
付属語
です。

木曾路はすべて山の中である。

島崎藤村『夜明け前』の冒頭ですね。
やっと手ごたえのある文がでてきました。
自立語 自立語 自立語 自立語 自立語
木曾路 は / すべて / 山 の / 中 で / ある 。
付属語 付属語 付属語
となります。
とにかく、「文節のはじまり」は必ず「自立語」です。
「すべて」と「ある」は「自立語だけの文節」になりますね。

それくらい、おれたちでもできそうだな。

よろしい。
では、私から出しましょう。

いくらでも分けてやるぜ。

ごん、お前だったのか。いつもくりをくれたのは。

ご、ごん!?

ひきょうだぞ、ごんぎつねを持ってくるなんて!

・・・涙で文が見えなくなるぞ。

なぜごんを撃ったんだ、兵十!

しかたないから私が分けましょう。
自 自
ごん / お前 だっ た の か 。
付 付 付 付
自 自 自
いつも / くり を / くれ た の は 。
付 付 付 付

「ごん」と「いつも」は「自立語だけの文節」だけど、「お前だったのか」とか「くれたのは」には、付属語がたくさん付いているな。

ひとつの自立語に4つも付属語が付くのは珍しいと思われがちですが、会話文などではけっこうありますよ。
活用

でも、「くれた」は「くれた」でひとつの単語じゃないの?

現代語では、「くれた」の「くれ」を言い切りのかたち(もともとのかたち)にすると「くれる」になります。
そこに、過去や完了の意味を持つ「た」がくっつくことで、「くれた」という表現になっています。
そのため、「くれ」と「た」は別々の単語と考えます。

難しいぞ。

では、古語でいくつか見ていきましょう。
言ふ
飛ぶ
歩く
食ふ
見る
居る
に「て」を付けてみてください。

言ひて
飛びて
食ひて

見て
居て

そのとおりです。
言ふ・飛ぶ・食ふは、「ふ」「ぶ」「ふ」が違うひらがなになりました。
見る・居るは、「る」がなくなってしまいました。
変化の仕方は異なるのですが、直後に「て」が付くことによって、「もともとのかたち」から、「違うかたち」になりましたね。
これを活用といいます。
活用する単語と、活用しない単語があります。
では、「すずめ」は活用しますか?

すずめに「て」を付けてみると・・・

すずめて
すずまて
すずむて
うーん。どれもしっくりこないな。

「しっくりこない」が正解です。
「すずめ」は活用しません。
あとで学びますが、「すずめ」は「名詞」という品詞です。
「進む」「食ふ」などは「動詞」という品詞です。
名詞は活用しませんが、動詞は活用します。
動詞は「言い切りのかたち」が、伸ばすと「ウ」の音になりますよ。

進むウゥー
食ふウゥー
飛ぶウゥー
本当だ。

「動詞」の活用の仕方については、「動詞」の回でくわしく見ていきましょう。
用言

活用する単語と、しない単語があるんだな。

「単語」は10程度の「品詞」というものに分かれます。そのうち8種類が「自立語」で、2種類が「付属語」です。
〈自立語〉
動詞 活用する
形容詞 活用する
形容動詞 活用する
名詞 活用しない
副詞 活用しない
連体詞 活用しない
接続詞 活用しない
感動詞 活用しない
〈付属語〉
助動詞 活用する
助詞 活用しない

見当がついたぞ。
「言ふ」とか「飛ぶ」とかは、
①それだけで意味がわかる「自立語」
②活用する
③動きを表している
ということから、「動詞」ということになるんだな。

そのとおりです。
「自立語」で「活用する」のは「動詞」「形容詞」「形容動詞」です。
このうち、「動き」を表すのが「動詞」で、「状態や性質」を表すのが「形容詞」と「形容動詞」です。

「形容詞」と「形容動詞」はどう違うのか?

「をかし」「いみじ」などが「形容詞」です。
「言い切りのかたち」が「○○し(じ)」になります。
「豊かなり」「静かなり」などが「形容動詞」です。
「言い切りのかたち」が「○○なり(たり)」になります。
形容詞と形容動詞は、文の中で置かれやすい場所などもほとんど変わりません。
細かいことは、「形容詞」「形容動詞」の項目で学習していきましょう。

今日はけっこう真面目にがんばったな。

最後に一言。
10の品詞のうち、「自立語」で「活用する」ものは3つでしたね。
「動詞」「形容詞」「形容動詞」です。
その「動詞」「形容詞」「形容動詞」のことをまとめて「用言」と呼びます。

理解したぞ。
ためしに古文ではなくて現代文で何か例文を出してくれ。
その中から用言を抜き出してみたい。

わかりました。

いい例文を頼むぜ。

兵十は、立ち上がって、納屋にかけてある火なわじゅうを取って、火薬をつめました。

!!
ご、ごん!

それ以上先に進まないでくれ!!

答えを言えば先には進みません。

立ち上がっ
かけ
取っ
つめ
だ!

言い切りのかたち(もともとのかたち)も言ってもらいましょう。

立ち上がる
かける
取る
つめる
だ!

品詞も言ってもらいましょう。

立ち上がる 動詞
かける 動詞
取る 動詞
つめる 動詞
ぜんぶ動詞だ!

正解です。
では今日はここまでにしましょう。

あぶないところだった。

もう少しでごんが撃たれるところだったな。