「古文を読解する」って難しいですよね。
でも、「無駄に難しく考えすぎて嫌いになっている」という状態に陥っている場合も少なくありません。「これから入試のための勉強を始めるぞ」とか「どこからやり直せばいいかわからない」という場合には、次のような参考書に目を通すことをおすすめします。
「入門編」は、受験期の基礎をつくってくれる本なので、できれば高3になる前に終えておきたいところです。
「必修編」に挙げたZ会の2冊の本は、解説を理解できる水準にある受験生にとっては最高の本です。この「Z会の2冊」の解説を難しいと感じる場合には、「入門編」から始める必要があります。
いずれの書籍についても、詳細はリンク先(amazon)のレビュー等を参考にしてください。
文法入門編 ① or ② or ③
① 望月光の古文教室 古典文法編
文法に苦手意識がある人がゼロから始めるのに最適な本です。
望月先生の解説は、本質をふまえつつも、「まずはこう考えておこう」というかたちで思考をシンプルにしてくれるので、「自分で考える」という行為に入っていきやすいです。
たとえば、「文中連体形」の「む(ん)」は、仮定でも婉曲でも訳せる場合が多いので、「仮定or婉曲」を区別することにやっきになる必要はありません。
本書では、下に「名詞」があったら「婉曲」で、「助詞」があったら「仮定」にしておくというくらいに割り切っておきましょう、という旨の解説があります。こういった「割り切り方」を教えてくれるという点でも、受験生にとってはありがたい側面があります。
望月先生の文法の授業は「実況中継シリーズ」もありまして、そちらも非常にわかりやすいです。
② 山村由美子 図解古文文法講義の実況中継
河合塾の山村先生の「実況中継シリーズ」です。
「こう考えるとこう答えられる」という「考え方の指標」がとてもわかりやすいです。
「単語」「文法」「読解」をすべて山村先生の本でそろえると、一般的な入試はほぼカバーできます。
➂ 富井の古典文法をはじめからていねいに
タイトルに偽りなく、「はじめからていねいに」説明している良書です。
望月先生の本、山村先生の本、富井先生の本は、どれも非常にわかりやすいものです。
文法が苦手な人は、どれか一冊読んでみるといいと思います。
読解入門編 ④ or ⑤ or ⑥ or ⑦
④ マドンナ古文
荻野先生の『マドンナ古文』は、「読解のための文法」というポイントに的を絞って、「読むためには何をおさえればいいか」ということをわかりやすく解説しています。
「古文がまったく読めない」「まったく点が取れない」という人の救世主的な本です。
将来的に旧帝大や早稲田あたりを目指している生徒であれば、高校に入る前に読んでおいてもいいかもしれません。
⑤ 望月光の古文教室 古文読解編
初学者にとってとてもありがたい本です。
古文は言語なので、「100%こうなる!」ということはなかなか言い切れないのですが、そうはいっても、「入試ではここを問われる」という水準でいうと、「まずはこう考えておくといい」という「太枠」があります。
そういう「太枠」をしっかりと教えてくれる本です。
⑥ 山村由美子 図解古文読解講義の実況中継
「中古の日記だったらこう考えよう」とか、「説話だったらこう考えよう」といったように、それぞれの「語りのスタイル」にあわせたアプローチの仕方などもしっかりおさえています。
非常におすすめです。
⑦ 富井の古文読解をはじめからていねいに
「わかりやすく語る」ということが徹底されていて、理解がしやすい本です。
主語判定の仕方とか、本当にわかりやすいんですよ。
必修編(文法&読解)
古文上達 基礎編 読解と演習45
入試問題の古文をクリアするための合言葉は「基礎徹底」です。
とにかく、600語程度の単語の意味を知っていて、文法の基礎に抜けがない状態であれば、どんな入試でも合格点に達します。
そのうち、文法上の「基礎課題」を網羅している問題集が、この『古文上達 基礎編 読解と演習45』です。
高校の授業を理解している受験生であれば、いきなり本書からやり始めて問題ありません。この「基礎編45」を終了したら、次に挙げる『古文上達 読解と演習56』に進みましょう。
古文上達 読解と演習56
Z会の『古文上達』には、2種類あるので気をつけてください。
「基礎編」と銘打ってあるほうが、全体を通して比較的平易です。
「入門から応用まで」と書いてあるほうは、最初のほうは易しめですが、後半は難しくなります。
「上達基礎編45」を終えてから「上達56」に進むと、「基礎的な項目を反復しつつ、気がつくと応用課題に入っている」という理想の進み方になります。
Z会の解説が理解できる水準にある受験生は、高3秋までにこの2冊を2週しておけば、あとは過去問を解くのみですね。
単語集のおすすめはこちらをどうぞ。