したたむ【認む】 動詞(マ行下二段活用)

意味

① 処理する・整理する

② 準備する・支度する

➂ 始末する・片付ける

④ 食べる

⑤ 書き記す

ポイント

「したたかなり」と同根の語と言われています。「したたか」は、「しっかりしている」「手ぬかりがない」「きちんとしている」という意味です。

類義の動詞である「したたむ」は、「しっかりとする・きちんとする」ということであり、行為としては「(しっかりと)処理する」「(きちんと)整理する」ということになります。

何かのイベントの事前であれば「準備する」と訳すこともありますし、事後であれば「後始末する」と訳すこともあります。

文脈的に「食事」を「したたむ」のであれば「食べる」などと訳し、「文」を「したたむ」のであれば「書き記す」などと訳します。

ああ~。

今でも、「手紙をしたためる」とか言うよね。

言いますよね。

古文での「したたむ」は、「整理する」「準備する」の意味が多いですね。

なお、「準備する」という訳をする動詞としては、ほかに

いそぐ(急ぐ)
かまふ(構ふ)
まうく
(設く)

などがありますので、まとめて覚えておくと便利です。

「いそぐ」は、「急いで何かをすること」で、
「かまふ」は、「あらかじめ構えておくこと」で、
「まうく」は、「設置・設営すること」だから、
たしかにどれも「準備する」って訳せそうだね。

この3つに比べると、「したたむ」は、「きちんと整える」ということなので、「準備」だけでなく、「片付け」にも使用できる点に特徴があります。

例文

まかりくだるべきほどいと近し。したたむべきことどものいと多かるを、(落窪物語)

(訳)(大宰府に)下向いたすべき時が間近である。準備しなければならないことなどがたいへん多いのだが、

河中の橋を踏まば落つるやうにしたためて、(平家物語)

(訳)川の中ほどで橋を踏んだら落ちるように準備して【処理して】、

はんしたためんとする人もあり。(義経記)

(訳)飯を食べようとする人もいる。