わゐゑを 2024.10.11 目次 わを わ わざと【態と】 副詞「わざと」は、意図をもってする行為につきます。多くの場合は、(1)のように「わざわざ・故意に・意図的に」と訳せば文意に合います。逆に、「わざとなし」「わざとならず」などと表現されている場合は、意識的ではない行為を指すと考えましょう。「わざと」は、「意図的である」ということから、(2)のように「本格的」と訳したり、(3)のように「特別」と訳すこともあります。 わたる【渡る】 動詞(ラ行四段活用)もともとは水上を移動して、水面で隔てられた向こう側に移動することに用いられました。中古では、水上に限らず、地面や空中を移動することにも広く用いられるようになります。類義語「わたす」のほうは、中古になっても「水上」を移動することにほぼ限定されます。 わづらふ【煩ふ】 動詞(ハ行四段活用)もともと、「精神的な困惑」を意味します。それが「身体的な不調」で用いられれば「病気になる」などと訳し、「困惑を伴う行為」に用いられれば「苦労する・難儀する」などと訳します。 わびし【侘びし】 形容詞(シク活用)「侘ぶ(わぶ)」という動詞が形容詞化したものです。「わぶ」は「思うとおりにいかなくてがっかりする」というニュアンスで、形容詞「わびし」もほぼそのままの意味です。 わぶ【侘ぶ】 動詞(バ行上二段活用)物事が思い通りにいかず、がっかりすることを意味しています。訳としては、「嘆く」「困る」などとすることが多いですね。補助動詞として、「~しかねる」「~しづらい」などと訳すこともけっこうあります。 を をかし 形容詞(シク活用)「こっけいだ」という意味の「痴(をこ)」が形容詞化したという説と、「招き入れる」という意味の「招く(をく)」が形容詞化したという説があります。「をこ」なら①の意味が近く、「招く」なら②の意味が近いことになります。古くは①の意味が多いのですが、平安時代には②③④の使い方が多くなります。中世に入ると、再び①が優勢になります。 をこがまし【痴がまし】 形容詞(シク活用)名詞「痴(をこ)」+接尾語「がまし」です。「をこ」は「愚か・ばか」ということであり、「がまし」は「~らしい」「~ようだ」「~にみえる」ということなので、端的に言えば「ばからしい」「愚かにみえる」という意味になります。 をこなり【痴なり】 形容動詞(ナリ活用)「痴(をこ)」+「に」+「あり」であり、「ばか・だ」と考えておけばOKです。類義語に形容詞「をこがまし」があります。 をさをさ 副詞「長(をさ)」を重ねたことばです。「をさ」は、年齢や能力が長じていることを示しますので、どちらかというと(2)の「しっかりしている」「きちんとしている」という意味のほうが原義に近いです。たとえば、「幼し(をさなし)」という語は、この「長(をさ)」が「無し」であることを示すことから、「年少だ・幼稚だ」という意味になります。ただ、実際の用例としては、下に打消表現を伴い、(1)のように「めったに(~ない)・ほとんど(~ない)・なかなか(~ない)」という意味で用いることがほとんどです。 をし【惜し・愛し】 形容詞(シク活用)動詞「をしむ」と同根の語です。変化していくものに対して、「残念だ」と思う気持ちを示しています。「変わってほしくない」と思っているということは、現状に愛着があり、そのままでいてほしいと思う気持ちと表裏一体なので、「いとしい」「かわいい」と訳すこともあります。