謙譲語

◎敬語

まうす【申す】 動詞(サ行四段活用)

上代では「まをす」ということばであり、今でも祝詞では「かしこみかしこみまをす」というように、「まをす」を使います。もともとは、神や権力者といった上位者に対しお願いをするという意味を持ちましたが、「お願い」という意味での使い方はそれほど多くはなく、「上位の者に口をきく」行為を指すことばとして広範に用いられました。したがって、訳語としては「申し上げる」となることが多いです。
◎敬語

たてまつる【奉る】 動詞(ラ行四段活用)

下二段動詞「立つ」+謙譲語「まつる(奉る)」が一語化したものです。もともと上代では「まつる」が「差し上げる・献上する」という意味で用いられていました。そこに「たて」がついたわけですが、ここでの「たて」は、もともと下二段の「立つ」なので、「目立たせる・はっきりさせる・くっきりさせる」というニュアンスがあります。そういう点では「たて」は強調のための接頭語みたいなものですね。なお、「まつる」のほうは、中古になると単独ではあまり用いられず、「たてまつる」「つかへまつる」というように、複合語での使い方が主流になります。
◎敬語

まゐる【参る】 動詞(ラ行四段活用)

古代に「参」という語があり、それが「貴い領域(神聖な領域)」にかかわることを示しました。上一段動詞であったと考えられており、そうであれば連用形は「まゐ」になります。「まゐ入る」なら「貴い領域に入る」ということであり、「まゐ出づ」なら「貴い領域に出現する」ということになります。前者は「まゐる(参る)」で、後者は「まうづ(詣づ)」です。したがって、本動詞の意味はほとんど同じになります。
◎敬語

はべり【侍り】 動詞(ラ行変格活用)

動詞「這ふ(はふ)」に「あり」がついて「這ひあり」となったものが、やがて「はべり」になったと言われています。貴人に対して「平伏して仕える」ということから、「お仕えする」「控える」という謙譲語の役割を担いました。「主体を低くする謙遜表現」として、次第に丁寧語で使われることが多くなりました。補助動詞の場合は100%丁寧語と考えます。
◎敬語

さぶらふ【候ふ】 動詞(ハ行四段活用)

指示語「さ」に、動詞「守もる」がつき、さらに反復・継続を示す「ふ」がついて、「さもらふ」という動詞として使用されていました。構成要素から考えると、「そちらを守り続ける」という意味になります。ここでの「さ」という指示語は、「守るべき対象」であるので、「高位の者」になります。そこから、「お仕えする・おそばに控える」という謙譲語の意味で使用されました。この「さもらふ」が「さぶらふ」となり、やがて「さふらふ」「さうらふ」となっていきます。
◎敬語

きこゆ【聞こゆ】 動詞(ヤ行下二段活用)

動詞「聞く」に、上代の助動詞「ゆ」がついて、「聞かゆ」となったものが、「聞こゆ」と音変化しながら一語化しました。「ゆ」は「自発」を意味しましたので、「聞こゆ」というのは、「聞こえる」という意味になります。「世間に聞こえる」という文脈であれば、「評判が高い」などと訳します。
◎敬語

つかうまつる【仕うまつる】 動詞(ラ行四段活用)

誰かにお仕えするという意味の「仕ふ(つかふ)」に「奉る(まつる)」がついた「つかへまつる」が「つかうまつる」になりました。これがいすれ、「つかまつる」になっていきます。「仕える」という行為を受け取る相手を高める表現なので、「謙譲語」になります。誰かに仕えるということは、様々なことを「してさしあげる」わけなので、具体的な一つ一つの行為に用いることもあります。そのため、④の補助動詞の場合、「歌をお詠み申し上げる」とか、「笛をお吹き申し上げる」とか、様々な訳し方をします。
◎敬語

たまふ【賜ふ・給ふ】 動詞(ハ行四段活用/ハ行下二段活用)

もともとの意味は「お与えになる」というものです。与えるほうの「これを授けたい」って気持ちと、もらうほうの「これをいただきたい」って気持ちが合致した状態である「魂たま・合ふ」が「たまふ」になったという説があります。なお、実際の用例としては、他の動詞に補助的につく補助動詞の用法が圧倒的に多いです。「〇〇たまふ」というセットで「お〇〇になる」「〇〇なさる」などと訳します。たとえば「泣きたまふ」なら「お泣きになる」「泣きなさる」などと訳します。
◎敬語

そうす【奏す】 動詞(サ行変格活用)

「奏(そう)」という字が、「神にささげる」という意味を持っています。そのことから、地上における最高の存在であった「天皇・上皇・法皇」に対して発言する場合、「奏す」という謙譲語が用いられました。ただし、常に「奏す」しか使用しないわけではないので、注意してください。「申す」「聞こゆ」「聞こえさす」などに比べると、「奏す」を目にする機会はそれほど多くはありません。
タイトルとURLをコピーしました