おほとのごもる【大殿籠る】 動詞(ラ行四段活用)

貴人が寝殿にとじこもる

意味

尊敬語

(1)お休みになる

ポイント

「大殿」は「宮殿」を指しまして、特にその寝所の意味で用いられていることが多いです。

したがって、「大殿籠る」は「(宮殿の主が)寝所におこもりになる」ということになります。訳は「お休みになる」で大丈夫です。

宮殿に住んでいるということは天皇みたいな人にしか使わない表現なのかな。

親王や中宮に使うこともあります。『枕草子』では「中宮定子」に対して使用しています。

それに、宮殿みたいなすごい邸宅に住んでいる貴族であれば、その館の主人のお休みを「大殿ごもる」ということはあります。関白に使ったりもしますね。

そのため、「最高敬語」とまではいえません。

例文

親王、おほとのごもらで明かしたまうてけり。(伊勢物語)

(訳)親王は、お休みにならないで夜を明かしなさった。

さらに不用なりけりとて、御草子に夾算けふさんさして大殿籠おほとのごもぬるも、まためでたしかし。(枕草子)

(訳)まったくむだであったといって、(村上天皇が)ご本にしおりをはさんでお休みになったのも、またすばらしいことだよ。