百人一首

〇和歌

忘れじの 行く末までは かたければ 今日を限りの 命ともがな (儀同三司母)

忘れまいという(あなたの)言葉が、遠い将来までは(そのとおりになるか)難しいので、(その言葉のあった)今日を最後とする(私の)命であってほしいものだ。
〇和歌

あらざらむ この世のほかの 思ひ出に 今ひとたびの 逢ふこともがな (和泉式部)

わたしは(この世から)いなくなるだろう。現世の外への【あの世への】思い出に(するために)、せめてもう一度、あなたにお会いしたいなあ。
〇和歌

大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみもみず 天の橋立 (小式部内侍)

大江山を越えて行く【大江山に向かって行く】、生野の道が遠いので、天の橋立を踏んだこともない。母からの手紙もまだ見ていない。
〇和歌

滝の音は 絶えて久しく なりぬれど 名こそ流れて なほ聞こえけれ (大納言公任)

滝の音は、途絶えてもう長い年月が経ってしまったが、その名声は世間に流れて、今なお評判になっていることだなあ。
〇和歌

名にし負はば 逢坂山の さねかづら 人に知られで くるよしもがな (三条右大臣)

恋しい人に逢い、ともに夜を過ごすという名を背負っているのであれば、その逢坂山のさねかずらをたぐり寄せるように、人に知られないであなたを連れてくる方法がほしいものだ。
〇和歌

このたびは ぬさもとりあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに (菅家)

この度の旅は、(あわただしくて)幣ぬさを用意することもできない【捧げることもできない】。(その代わりに)手向山の紅葉の錦を(捧げるので)、神の思うままに(お受け取りください)。
〇和歌

月みれば ちぢにものこそ 悲しけれ わが身ひとつの 秋にはあらねど (大江千里)

月を見ると、さまざまに際限なく、もの悲しく感じられるなあ。私一人だけの秋ではないのだけれど。
〇和歌

吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を 嵐といふらむ (文屋康秀)

吹くとすぐ、秋の草木がしおれるので、なるほどそれで山風を「嵐」と言うのであろう。
〇和歌

今来むと 言ひしばかりに 長月の 有明の月を 待ち出でつるかな (素性法師)

今すぐ来ようと、(あなたが)言ったばかりに、陰暦九月の夜長を待つうちに、有明の月が出てきてしまったよ。【有明の月が出るのを待ってしまったよ】
〇和歌

わびぬれば 今はた同じ 難波なる みをつくしても 逢はむとぞ思ふ (元良親王)

(二人の仲が知られてしまい)悩み苦しんでしまったので、今となっては(何があっても)もう同じことだ。難波にある澪標(みおつくし)ではないが、身を尽くしても【わが身が果てても】逢おうと思う。
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