うちつけなり【打ち付けなり】 形容動詞(ナリ活用)

パッとくっつける!

意味

(1)突然だ・急だ・唐突だ・にわかだ・あっという間だ

(2)軽率だ・軽々しい

(3)ぶしつけだ・無遠慮だ・露骨だ

ポイント

「付く」に、接頭語「うち」がついたものです。

接頭語「うち」は、「パッと」「サッと」「ちょっと」「バシッと」といったように、「瞬間的」「軽妙」「軽快」「明瞭」などの意味合いを内包しています。

そのことから「うちつく」は、「パッとつける」「サッとつける」というニュアンスで、まずは(1)のように「突然だ」「急だ」という意味で用います。

ああ~。

「パッとやってしまう」ということは、「深く考えていない軽はずみな行為」ともいえるから、(2)のように「軽率だ」「軽々しい」という意味にもなるんだね。

そうですね。

そして、そのように「軽率で軽々しい行動」は、多くの場合「その場の作法」を無視した無礼なものになりますので、(3)のように「ぶしつけだ」「無遠慮だ」という意味にもなります。

「作法」というオブラートに包んでいないので、「露骨だ」と訳す場合もあるということだね。

そういうことです。

例文

うちつけに、海は鏡の面のごとなりぬれば、(土佐日記)

(訳)にわかに【あっという間に】、海は鏡の表面のように(穏やかに)なったので、

うちつけにやとおぼさむと、心恥づかしくてやすらひ給ふ。(源氏物語)

(訳)軽率ではないかとお思いになるだろうと、気が引けてためらいなさる。

いと著かりし随身の声もうちつけに交じりて聞こゆ。(源氏物語)

(訳)たいそうはっきりとした従者の声も露骨に【無遠慮に】交じって聞こえる。