あな 感動詞

ああ~

意味

(1)ああ・あら・まあ

ポイント

「The 感動詞」と言うべきことばで、「感慨・驚き・感心」など、心が強く動いたときに発せられる語です。「ああ・あら・まあ」などと訳せばOKです。

セリフの中に単独で出てくことも多いのですが、「あな+形容詞・形容動詞の語幹」で、ワンセットの感動詞のような使い方をすることも多いです。

あなかしこ
あなめでた
あないみじ
あなわびし

みたいなやつだな。

そうです!

なお、「シク活用」の場合、いわゆる「語幹用法」では「終止形」が「語幹と同じ役割を果たす」と考えます。たとえば、「いみじ」「わびし」といった終止形が「語幹扱い」になります。

ただ、これについては、シク活用形容詞はそもそも「〇〇し」までが語幹であるという考え方もあります。

くわしくはこちら。

形容動詞でも「あな+語幹」という表現はあるんだね。

あります。

あな静か
あなめづらか

といったように、形容動詞ナリ活用の活用語尾である「なり」をつけない言い方です。

なお、「形容詞」でも「形容動詞」でも、「あな」とセットになる際には、最後に「や」がつくことも多いです。

あなめでた (あな+「めでたし」の語幹「めでた」+や)
あなむざん (あな+「むざんなり」の語幹「むざん」+や)

といったものですね。

「あなう」とか、突然言われるとなんだかわからないけど、「あな」+「憂し」の語幹「う」ということなんだな。

構造がわかれば訳せますね。

あなう (ああつらい)
あなかしこ (ああ恐れ多い)
あなかま (ああうるさい)
あなにく (ああ憎らしい)

などは、けっこうよく目にしますよ。

通常は「あな」の直後に読点(、)を入れることも少なくないのですが、「あなう」「あなかしこ」「あなかま」「あなにく」あたりは、接着性が強く、あいだに読点が入るケースは珍しいです。まるごと一語の感動詞のようなものですね。

例文

「や、な起こし奉りそ。をさなき人は、寝入り給ひにけり。」と言ふ声のしければ、あなわびしと思ひて、

(訳)「これ、お起こし申し上げるな。幼い人はお眠りになった。」という声がしたので、ああ困ったことだと思って、

あな+「わびし」の語幹

という構造です。「あな」の後ろに読点(、)がありますが、事実上「あな+形容詞の語幹」のワンセット扱いですね。

御前なる獅子・狛犬、そむきて、後さまに立ちたりければ、上人いみじく感じて、「あなめでたや。この獅子の立ちやう、いとめづらし。深きゆゑあらん」と涙ぐみて、

(訳)神殿の御前にある獅子と狛犬が、(互いに)背を向けて、後ろ向きに立っていたので、上人はたいそう感心して、「ああすばらしいことよ。この獅子の立ち方は、たいそう珍しい。深いわけがあるのだろう」と涙ぐんで、

あな+「めでたし」の語幹+や

という構造です。最後の「や」は訳出しなくてもかまわないのですが、「~だなあ」「~ことよ」といったように、感動の余韻を示すようなかたちで表現しておいてもいいですね。

あなむざんや。斎藤別当で候ひけり。(平家物語)

(訳)ああいたましいなあ。(討たれた者は)斎藤別当でございました。

あな+「むざんなり」の語幹+や

という構造です。