ひとやり【人遣り】 名詞 / ひとやりならず 連語

意志ではない

意味

(1)自分の意志ではなく、他から強制されてすること

ひとやりならず 

(1)他人からの強制ではなく、自分の意志で行うこと

ポイント

「遣る(やる)」は「人に~させる」ということです。そのことから「人遣り」という名詞は、「強制的な行為(使役的な行為)」を意味します。

多くの場合、下に打消し表現を伴い、「他人から強制された行為ではない」という言い回しで使います。「ひとやりならず」で覚えてしまうといいですね。

ああ~。

「人やりならぬ道」とかで出てくるよね。

そうですね。

直訳すれば、「人から強制されたわけではない道」ということですが、選択肢問題などでは、「自分で決めた道」などと訳したりしますね。

例文

人やりの 道ならなくに おほかたは いき憂しといひて いざ帰りなむ (古今和歌集)

(訳)誰かに強制される旅ではないので、気持ちの大部分は行くのがいやだと言って、さあ帰ってしまおう。

ことにふれて心細く悲しけれど、人やりならぬ道なれば、行き憂しとてもとどまるべきにもあらで、何となく急ぎ発ちぬ。(十六夜日記)

(訳)ことあるごとに心細く悲しくなるけれど、人に強制されたのではない旅なので【自分の意志で決めた旅なので】、行くのはいやだと思ってもとどまることはできず、何ということもなく急いで出発した。