ねんごろなり【懇ろなり】 形容動詞(ナリ活用)

根と根がコロコロ

意味

(1)丁寧だ・入念だ・親切だ *心を込めている様子

(2)熱心だ・一途だ・本気だ *一生懸命な様子

(3)親密だ・むつまじい *仲が良い様子

ポイント

「根もころ」が音変化した語で、「ねむごろ」とも言います。

「根」と「根」がコロコロからまりあっている様子が、「心を込めていること」とか「一生懸命なこと」を連想させたのだと思われます。

ああ~。

たしかに、複数の根がからまって這っている様子は、「ひとつひとつ細かく丁寧に生きている」感じとか「努力して一途に生きている」感じがするよね。

そうですね。

代表的には(1)(2)の意味ををおさえておけるといいですね。

(3)「親密だ・むつまじい」というのは、今でも使う用法です。特に近世以降は男女の仲をいうケースが多いです。

例文

朝には夕あらんことを思ひて、重ねてねんごろに修せんことを期す。(徒然草)

(訳)朝には夜があることを思って、重ねて入念に身につけようとすることを心に決める。

狩りはねんごろにもせで、酒を飲みつつ、やまと歌にかかれけり。(伊勢物語)

(訳)狩りは熱心にもしないで、酒を飲みながら、和歌を詠むことに熱中していた。

ねんごろに語らふ人の、かうて後おとづれぬに、(更級日記)

(訳)親密につきあう人が、こういうことの後【夫の死後】は便りもないので、