ことわる【理る・断る】 動詞(ラ行四段活用)

困難は分割せよ。

意味

(1)(道理にてらして)判断する・判定する

(2)(筋道を立てて)説明する

(3)(理屈を並べて)言い訳する・弁解する

ポイント

「事」「割り」から「理(ことわり)」という名詞が生成され、それが動詞化したものが「ことわる」です。

「事」を「割る」ということは、中身分析する」とか、「道理を明らかにする」という行為になりますね。

そのことから、基本的には「判断する・判定する」という意味が中心になります。

その「判断」や「判定」を、根拠を持って人に伝える場合には、「説明する」という訳になります。

「拒否する」とか「辞退する」って意味ではないんだな。

人って、何かをお願いされたり、誘われたりしたときに、「拒否・辞退」するときこそ、筋道を立てて理由を述べませんか?

ああ~。

たしかに、「うん、やるよ!」っていうときには、「うん」だけですむけど、「やらないよ!」っていうときには、「だって、力不足ですから」とか、何らかの「理屈」をつけたがるよな。

そういうケースが多くて、「説明すること」と「拒否・辞退すること」がセットになりやすいぶんだけ、「ことわる」が、そのまま「拒否・辞退すること」の意味になっていったのだと考えられます。

ただ、それは江戸時代くらいからちらほら出てきた使い方ですし、現代語と同じ意味になりますから、古文の問題として「ことわる」を「拒否する」などと訳す問題はまずないですね。

なるほどな。

基本は「判断する・判定する」という意味で、その道理を人に伝えている場面であれば「説明する」と訳せばいいんだな。

そうですね。

「判断する」「判定する」という意味については、選択肢問題だと、「裁定する」「裁く」「批評する」「是非を決める」「善悪を定める」など、いろいろな訳し方をします。

「事・割る」=「道理を明らかにする」という語義にてらして、最も整合するものを選んでください。

また、人に何かを伝えている場面で「ことわる」という場合、それは根本的に「道理を言う」ということなのですね。シンプルに訳せば「説明する」ということなのですが、保身のためにあれこれ理屈を並べているような場面であれば、「言い訳する」とか「弁明する」などと訳すこともあります。

例文

はては国の守のもとにして、これをことわらしむ。(沙石集)

(訳)最後には国の守【国司の長官】のもとで、これを裁定させる。

「にぎはひ豊かなれば、人には頼まるるぞかし」とことわられはべりしこそ、

(訳)(東国の人は)富み栄えて裕福であるので、人から信頼されるのだよ」と(道理を)説明されましたのは、