こころばせ【心ばせ】 名詞

ポジティブなココロ!

意味

(1)気立て・性質

(2)心遣い・配慮

(3)心がけ・分別

(4)風流心・情緒を解する心

ポイント

「心」に接尾語「ばせ」がついた名詞とされます。同じ構造のものに「かほばせ(顔ばせ)」などがありますね。

あるいは、「心」+「馳す」が名詞化して「心馳せ」になったという考えもあります。

その考えにしたがえば、積極的に対象に向かうような「活発な心の性質」を表しているといえます。

「心ばへ」っていうのもあるよね。

「心ばへ」のほうは、「心」が「延ふ(はふ)」ことであり、「性質」がじわりと表面に這い出したようなものを意味します。

「心ばへ」は、人に限らず「風情」などにも用いますし、文脈によっては「悪い性質」を意味することもあります。

対して、「心ばせ」は、「人の性質」しかも「よい性質」についてしか用いません。

ああ~。

じゃあ、「心ばせ」が出てきたら「ほめことば」と考えていいんだね。

そうですね。

例文

こころばせのなだらかに目やすく、憎みがたかりしことなど、今ぞおぼし出づる。(源氏物語)

(訳)気立てが穏やかで感じがよく、憎らしく思えなかったことなどを、今思い出しなさる。

藤の花を手折り、松の枝につけながらもって参りたり。「こころばせあり」なんど仰せられて、御感ありけり。(平家物語)

(訳)(中原康定藤がは藤の花を手で折って、松の枝につけたまま持って参上した。(上皇は)「風流心がある」などとおっしゃって、感心なさった。