みそかなり【密かなり】 形容動詞(ナリ活用)

こっそり・・・

意味

(1)こっそり・ひそかに

ポイント

成り立ちははっきりしませんが、「みそか盗人」「みそか心」といったことばもあります。「密」が「密教・内密・秘密」の「密」であって、そもそも「こっそり・ひそかに」という意味がありますね。「密(みつ)か」が「みそか」に音変化したのではないでしょうか。

用例としてはほとんどが「みそかに」という連用形のかたちです。

ちなみに「みそかなり」はおもに和文で使用され、漢文訓読体では「ひそかなり」と読みます。これは「ひそまる」「ひそむ」という語と関係があるとされます。

月の最終日となる「三十日(みそか)」と同じ音だから、月がなくなっちゃうことと関係があるのかと思ってたよ。

ああ~。

月は十五日の「望月」以降は右側から欠けていって、「三十日」にはほぼ見えなくなるので、たしかに「こっそりひそかにふるまうこと」を連想させますね。

成り立ちにかかわっているかは措くとして、なくなってしまう月の様子と、こっそりひっそりしているふるまいは、現象としては似ていますね。

ためらいながら出てくる十六日の月を「いさよひ」と言ったりするから、人間の行動と月の呼び名が連想関係にあってもおかしくないよね。

形容動詞「みそかなり」と、月末の「みそか」を掛詞にした和歌とかありそうですよね。

例文

人にも知らせさせたまはで、みそかに花山寺におはしまして、御出家入道せさせたまへりしこそ。(大鏡)

(訳)(花山天皇は)人にもお知らせにならず、こっそりと花山寺にいらっしゃって、御出家入道なさってしまった。

等身に薬師仏を造りて、手洗ひなどして、人まにみそかに入りつつ、(更級日記)

(訳)(菅原孝標女は、自分と)同じ身の丈に薬師仏を作って、手を洗い清めるなどして、人の見ていない時にひそかに(仏間に)入っては、