けざやかなり 形容動詞(ナリ活用)

境界線キッパリ!

意味

(1)くっきりしている

(2)はっきりしている・際立っている

ポイント

「界(け)」が「清か(さやか)」で「けざやか」です。

つまり、何かと何かの境界がはっきりしていることを意味しています。

「さやかなり」は、対象そのものが「明るくはっきりしている」ということですが、「けざやかなり」は、他のものとの「区別」「違い」がはっきりしているいうところに意味の重さがあります。

「さやかなり」が「はっきりしている」で、「けざやかなり」が「くっきりしている」という感じなのかな。

イメージとしてはまさにそういうことです。

ただ、実際の使われ方としては、「けざやかなり」と「さやかなり」は、けっこう同じような感覚で使用されています。

どちらも「はっきりしている」「くっきりしている」という訳し方で、特に問題が生じることはありません。

例文

九月ばかり、夜一夜降りあかしつる雨の、今朝はやみて、朝日いとけざやかにさし出でたるに、前栽の露はこぼるばかり濡れかかりたるも、いとをかし。(枕草子)

(訳)九月のころ、一晩中降りあかした雨が、今朝はやんで、朝日がたいそうくっきりと【際立って】射しはじめたところ、前栽【庭の植え込み】の露はこぼれるほどに濡れかかっているのも、たいそう趣きがある。

眉のけざやかになりたるもうつくしうきよらなり。(源氏物語)

(訳)眉がくっきりとなっているのもかわいらしく美しい。