内容あるいは内容開示請求
意味
名詞
(1)草案・文書の内容
(2)事情・物事の内容
動詞(案内す)
(1)(内容を)問いただす/明らかにする
(2)(内容を知るための)取り次ぎを請う/取り次ぎをする
(3)(訪問客が)来意を告げる
(4) 道案内する
ポイント
「案(考え)」の「内」であり、名詞としては「文書(の内容)」や「事情(物事の内実)」を意味します。
「あない」と書きますが、「ん」は表記されていないだけなので、読みは「あんない」となります。時代が下ると、表記されていない「ん」を読みでも省いてしまう傾向が出てきますので、「あない」と読むこともあります。
「案内す」というサ変動詞で使用されることも多いですね。
現代では、「ルーブル美術館を案内する」と言ったら、「美術館の内容を説明してまわる」ことを意味するよね。
現代語の場合、もっぱら「内容を知っている者が説明をする行為」を意味しますね。
しかしながら、古文では、「内容を求める行為」ことは広く「案内す」と言いまして、どちらかというと、「知らない者からの開示請求行為」に使用されることのほうが多いです。
そのため、「内容を知らない側」の行為として「事情を問いただす」とか、「(内容への)取り次ぎを請う」といったものを「案内す」と言います。どこかの家を訪問し、「中の人(内容)」に近づくために「来意を告げる」ことも「案内す」です。
あるいは、「内容を知らない者」と「内容(事情)」との「中継役」を果たす行為として、「事情を明らかにする」とか、「(内容への)取り次ぎをする」とか、「道案内する」となどと訳すこともあります。
いずれにしても、「内容(事情)」のほうに行こうとする行為が「案内す」です。
ああ~。
ということは、ボブが友達の家のチャイムを「ピンポーン」と押して、「ヨハンソンいますか?」と聞くことも「案内す」であって、対応したおばあちゃんが「はあーい、あらボブくん。いまヨハンソンを呼んできますよ」と呼んでくれることも「案内す」なんだな。
そうですね。
内容にアクセスしようとする行為なので、どちらも「案内す」です。
主語が「ボブ」であれば、「取り次ぎを願う」とか「来意を告げる」と訳します。
主語が「おばあちゃん」であれば、「取り次ぎをする」と訳します。
例文
大臣にも、変はらぬ姿今一度見え、かくとあない申して、必ず参り侍らむ。(大鏡)
(訳)(父の)大臣にも、(出家前の)変わらない姿をもう一度見せ、このようにと事情を申し上げて、必ず参上しましょう。
おぼしいづる所ありて、あないせさせて入りたまひぬ。(徒然草)
(訳)思い出しなさるところがあって、(従者に)取り次ぎを請わせて【来意を告げさせて】(家に)お入りになった。
その家のほうの召し使いに「取り次ぎをさせて」と訳してもOKです。
宮の辺にあないしに参らまほしけれど、(枕草子)
(訳)中宮のあたりに(事情を)問いただしに参上したいけれど、
いかなることをかく言ふぞと案内せよ。(源氏物語)
(訳)どういうことをこのように言うのかと(わけを)問いただせ。