なべて【並べて】 副詞

意味

一般に・すべて・総じて *多くのものをまとめた総括として

一面に *空間的なものとして

普通・並 *相対的な評価として

*「なべてならず」の形で・・・ 並々でない・格別だ・際立っている

ポイント

ぶ」に「て」がついて「べて」になりました。

たくさんのものが同じ状態で並んでいる様子を表しています。

そのことから、「一般に」「一面に」「並一通りに」といった意味になります。

「どんぐりのせいくらべ」みたいなイメージだな。

まさにそんな感じです。

「なべて」は、「なべてならず」という連語で使用されやすいのですが、その場合、良い意味で「普通ではない」ということになります。

たくさん並んでいる中で、ひとつだけ抜きんでている状態なんだな。

例文

この法師のみにあらず、世間の人なべてこのことあり。(徒然草)

(訳)この法師だけではなく、世間の人はすべてこのようなことがある。

本文では直前に「本来の目的を忘れる」という話題があり、「このこと」はそれを指しています。

秋風の吹きと吹きぬる武蔵野はなべて草葉の色変はりけり

(訳)秋風が吹きに吹いた武蔵野は 一面に草葉の色が変わったなあ

いみじく多く生ひ広ごりて、なべての瓢にも似ず、大きに多く生ひたり。(宇治拾遺物語)

たいそう多く生え広がって、普通ひさご(ひょうたん)とは違って、大きく多く(実が)成った。

按察使の大納言の御むすめ、心にくくなべてならぬさまに、親たちかしづき給ふこと限りなし。(堤中納言物語)

(訳)按察使あぜちの大納言の姫君、奥ゆかしく並々でない様子に、親たちが大切にお育てになることこの上ない。

「なべてならず」は、良いほうの意味で「並ではない」ということなので、ここでは、「格別な様子」「際立った様子」などと訳してもいいですね。