領地を治めるには、土地や人を知ることが大切。
意味
知る
(1)わかる・理解する
(2)親しくする
(3)世話をする・面倒を見る
領る・治る
(1)(領地を)治める・所有する
(2)(政治的に)支配する
下二段活用で……
(1) (人に)知られる *「人知れず(人に知られない)」のかたちで、和歌に使われやすい。
ポイント
現代語の「知る」と同じで、「理解する」「わかる」という意味で使うことも多い語ですが、古語としては「領る・治る」のほうの「治める」「支配する」「領有する」といった意味に注意です。
その土地のことを隅々までくわしく「知る」ことができるのは、そこを「治めている」からだと言えますので、「しる=治める」という意味が成立していったという説がありますが、まったく別々に成立した語で、たまたま音が似ているだけという考えもあります。
いずれにしても、「しる」とひらがなで書かれていたら、「知る」なのか「領る・治る」なのか文脈判断する必要がありますね。
「しる」って、もともと「著」とか、「記す」とかと根が同じなんじゃなかったっけ?
そうですね。
「理解すること」「わかること」と、「書き記すこと」は、親和性が強いです。
「著」「記す」っていうのは、「記録として残す」ってことであって、「記録として残す」仕事を担当するのは、その土地を掌握すべき人の役割だから、「治める」って意味になっていったのかもね。
ああ~。
それはあるかもしれませんね。
例文
もとより深き道は知り侍らず。(徒然草)
(訳)もとより深い道のことはわかりません。
春日の里にしるよしして狩りにいにけり。(伊勢物語)
(訳)春日の里に領地を所有する縁で狩りをしに行った。
賢しとても、ひとりふたり世の中をまつりごちしるべきならねば、(源氏物語)
(訳)賢いといっても、一人や二人で世の中を政治で治めることはできるはずもないので、