たばかる【謀る】 動詞(ラ行四段活用)

さあどうしよう・・・

意味

(1)考えをめぐらす・計画を立てる・工夫する・方策を考える・相談する

(2)たくらむ・あざむく・だます

ポイント

動詞「はかる」に接頭語の「た」がついたものです。

「はか(果)」は、「見当・目安・進み具合」などを示す語で、「はかる」となると、「見積もる・見計らう・測定する・予測する・企てる・考える」など、広い意味で用いられます。

「たばかる」は、「た」によって「はかる」の意味が強まっているものと考えればいいので、根本的な意味は「はかる」と変わりません。

現代語だと、(2)の「あざむく・だます」の意味で使うよね。

古語の場合は、

自分(や仲間内)で「計画や方策を考える」のであれば(1)
その「計画や方策」が「よくないもの」であれば(2)

という感じで訳します。

現代語では(2)の意味が生き残っていますね。

(2)の意味が生き残っているということは、逆に、古文の試験で問われるとしたら(1)だな。

ああ~。

だって、(2)は、そのまま「たばかる」と訳してもバツにできないもんね。

まあ、傍線が引かれて、「口語訳」が求められているような場合は、たいてい(1)ですね。

多くは自分自身の心の内で考えをめぐらすことを意味しますが、話し相手といっしょに方策を練る際にも使用しますので、その場合、「相談する」と訳すこともあります。

ただ、もしも(2)の文脈を「訳せ」という問題に出くわしたら、念のため「たくらむ・あざむく・だます」などにしておいたほうがいいですよ。

例文

子安貝取らむと思しめさば、たばかりまうさむ。(竹取物語)

(訳)子安貝を取ろうとお思いになるのなら、考えをめぐらせ申し上げよう【方策を考えて差し上げよう】。

「かかることなむあるを、いかがすべき」とたばかり給ひけり。(大和物語)

(訳)「このようなことがあるのを、どうしたらよいか」と相談しなさった。

「方策をお考えになった」と訳しても問題ありませんが、文脈上「誰か」と「誰か」が話し合っているのであれば、このように「相談する」と訳してもいいですね。

平家の大勢を俱梨迦羅くりからが谷へ追ひ落とさうどたばかりけるを、(平家物語)

(訳)(源氏は)平家の大軍を俱梨迦羅が谷へ追い落とそうと方策を考えていた【計画を立てていた】のを、

この例文は「方策を考える」「計画を立てる」という訳で問題ありませんが、このように「相手をやっつけようとしている計画」の場合、「たくらむ」「くわだてる」などと訳してもいいですね。

選択肢問題などでは、「たくらむ」「くわだてる」と訳しているケースもあります。

梶原、「たばかられぬ」とや思ひけん、やがて続いて打ち入れたり。(平家物語)

(訳)梶原(影季)は、(佐々木信綱に)「だまされた」と思ったのだろうか、そのまま続いて(馬を川にうち入れた。

「よくない計画(相手をやりこめる計画)」が実施されると、「だます」「あざむく」という訳語になります。