意味
① 不吉だ・はばかられる
② すばらしい・神聖でおそれおおい
③ 並々でない・はなはだしい
ポイント

「斎」という語が重なって形容詞化しました。
「斎」は、人間が軽はずみに近づいてはならない神聖な場所(もの)、または不浄な場所(もの)を表しています。
そのことから、霊的な存在感ゆえに忌避したいものに対して「ゆゆし」と形容するようになりました。
マイナスの意味で使用されていれば「不吉だ」「はばかられる」、プラスの意味で使用されていれば「すばらしい」「神聖でおそれおおい」、程度の大きさを意味しているのであれば「並々でない」「はなはだしい」などと訳すことになります。

考え方が「いみじ」に似ているね。

「ゆゆし」と「いみじ」は、かなり似た使い方をされます。
「ゆゆし」のほうが、比較的「神仏的なもの」や「霊的なもの」の話題に使用されやすいですけど、きっぱりとした区別はできません。
実際、「忌忌し」と書いて「ゆゆし」と読むこともあります。
「とてもよい」「とても悪い」「はなはだしい」という3パターンの訳し方をするという点では、ほぼ同じですね。
例文
上下泣き騒ぎたるは、いとゆゆしく見ゆ。(源氏物語)
(訳)身分が上の者も下の者も泣き騒いでいるのは、たいそう不吉に見える。
ただ人も、舎人など賜はるるきははゆゆしと見ゆ。(徒然草)
(訳)普通の貴族も、舎人などの役職をいただく身分はすばらしいと思われる。
おのおの拝みて、ゆゆしく信おこしたり。(徒然草)
(訳)人はそれぞれ拝んで、並々でなく信仰心をおこした。