「老」っぽい
意味
(1)成長する・成人する
(2)大人びる・大人ぶる
(3)年寄りじみる・地味に見える
ポイント
動詞「老ゆ」と同根のことばと考えられています。
どちらも「年を取る」ということなのですが、「老ゆ」が、実際に老齢に達することを意味することに対して、「およすく」のほうは、「すくすくと成長する」という意味合いで使用されることが多いです。
意味的には「老」の状態に見えるというイメージです。
「およすく」の「すく」は、「すくすく」の「すく」なのかな。
「およすぐ」「およずく」という表記もありますので、「すくすく」の「すく」ではないと思います。
有力な説としては、「く」がもともと「け」であったというものです。「け」は「気」であり、「そのように見える」ということですね。つまり、「老いた(大人になった)ように見える」という意味です。
それに、擬態語が動詞の「後半」に来ることはまずありません。擬態語が動詞化するのであれば、「すくめく」といったように、動詞の「前半」にくると思います。
ただ、試験に臨むうえでの「覚え方」的なものとしては、「およすく」の「すく」は「すくすく」の「すく」とイメージしておくのはいいかもしれませんね。
「地味だ」っていう意味もあるんだな。
子どもから大人に成長した結果、「落ち着いて老成した様子に見える」という意味合いで、「地味に見える」と訳すことがありますね。
例文
程よりは大きにおよすけたまひて、やうやう起き返りなどしたまふ。(源氏物語)
(訳)(冷泉帝は)年齢よりは大きく成長しなさって、だんだん寝返りなどをしなさる。
およすげたる方は、父大臣にもまさりざまにこそあめれ。(源氏物語)
(訳)(夕霧の)大人びて【老成して】いる様子は、父大臣【源氏】よりまさっているようだ。
昼は、事そぎ、およすげたる姿にてもありなん。夜は、きららかに、華やかなる装束、いとよし。(徒然草)
(訳)昼間は、無駄を省き【簡素にし】、地味に見えている姿でもよいだろう。夜は、きらびやかで、華やかな服装が、とてもよい。