かしづく【傅く】 動詞(カ行四段活用)

ひたいをこすりつけるように!

意味

(1)大切に育てる

(2)面倒を見る・後見する・大切に世話をする

ポイント

かしら」「付く」から「かしづく」になったと言われます。

「頭が床につくほど敬意を示して取り扱う」ということから、「(尊い人を)大切にする」という意味合いになります。

対象が養育すべき子どもであれば、(1)「大切に育てる」、対象が大人であれば、(2)「面倒を見る」などの訳し方をします。

頭が床につくほどかしこまって大切に取り扱うということは、世話をすべき相手は「重要人物」なのだろうな。

そのとおりです。

用例としては、「貴族」が、「娘」を大切に育てるときに使いやすいですね。

イメージとしては、嫡子として家を継ぐ男子のほうが大切にされそうだけど、そういうわけでもないんだな。

家や子どもの数によって、ケースバイケースでしょうね。

たとえば、外戚政治でのし上がった藤原氏などにとっては、ある意味「帝の女御になるチャンスのある娘」のほうが、「生意気な息子」よりも大切にすべき対象だったかもしれません。

それに、女子のほうが丁重に取り扱わないといけないイメージがありますから、「大切に養育する」という意味の「かしづく」は、娘のほうに似合うことばですね。

ああ~。

たしかに、藤原氏の息子は帝にはなれないけど、娘は帝と結婚して、次の帝のお母さんになる可能性があるもんな。

そういう観点では、「娘のほうが大切」と考えた貴族もけっこういたでしょうね。

例文

親たちかしづきたまふことかぎりなし。(堤中納言物語)

(訳)親たちが(姫君を)大切に育てになることはこの上ない。

大臣の、外腹のむすめたづね出でて、かしづき給ふなる。(源氏物語)

(訳)大臣が、外の女性とのあいだに生まれた娘を探し出して、大切に世話していらっしゃる【大事に面倒を見なさる】ということだ。