すくよかなり【健よかなり】 形容動詞(ナリ活用)

シャキッとしている。

意味

(1)生真面目だ・堅実だ

(2)気丈だ・元気だ・しっかりしている

(3)無愛想だ・そっけない・ぶっきらぼうだ

(4)こわばっている・ごわごわしている

ポイント

「すくむ」の「すく」と同根のことばです。

たとえば、「身がすくむ」と言ったら、「体がこわばる」という意味ですね。

「すくよかなり」も、「ぎゅっとすくんで、こわばっている」ことを表しています。

そのことから、人の性格や言動などに対してであれば、「生真面目だ」「堅実だ」「無愛想だ」などと訳します。

物に対してであれば、「ごわごわしている」「堅くこわばっている」などと訳します。

現代語の「すこやか」のもとになったことばなのかな?

そうですね。

「生真面目」「堅実」「無愛想」などという「性格面でのお堅いイメージ」で使用されやすい形容動詞ですが、これを「生物の身体面」で使用すると、「体が元気でしっかりしている」という意味になります。

現代においては、その「身体面」の意味が残ったということになりますね。

江戸時代くらいには、「すこやかなり」というようになってきました。

例文

おほかたいとまめやかに、すくよかにものし給ふ人を。(源氏物語)

(訳)だいたい、たいそう誠実で、生真面目でいらっしゃる人を。

いとこはくすくよかなる紙に書きたまふ。(堤中納言物語)

(訳)たいそう固くごわごわしている紙にお書きになる。

あづま人は、わが方なれど、げには心の色なく、情けおくれ、ひとへにすくよかなるものなれば、はじめより否と言ひてやみぬ。(徒然草)

東国の人は、私の地方の人であるが、実は心の優しさがなく、人情味が劣り、まったく無愛想なものだから、最初から「いやだ」言って終わってしまう。