かどかどし【才才し】 形容詞(シク活用)

もって生まれた才能×2

意味

(1)才能がある・才気がある

(2)賢い・てきぱきしている

ポイント

古文では、人の生まれつきの能力を「かど」と言い、勉強してのちに身につけた能力(特に漢学の能力)を「ざえ」と言います。

どちらも、漢字では「才」と書きます。

「かど」を重ねた「かどかどし」という形容詞は、この「先天的な才能・才気」がある様子を示しています。

なんか、ひらがなでかかれると、「とげがあってキツい性格」とかなのかと思っちゃうよね。

ええ、まさに、「角角し」という形容詞がありまして、「とげとげしい」という意味になります。

「かど」=「才」という漢字をイメージできるかどうかが勝負ですね。

じゃ、じゃあ、ひらがなで書かれていたら、どっちかわかんないじゃん!

こればっかりは文脈判断ですね。

前後に他の誉め言葉があれば、「才才し」のほうで解釈する可能性が高いです。

文脈で判断できない場合は、試験での確率論にしたがい、「才才し」のほうに賭けましょう。

例文

心ばへもかどかどしう、形もをかしくて、(源氏物語)

(訳)気性も才気があり、顔かたちもかわいらしくて、

点長に走り書き、そこはかとなく気色ばめるは、うち見るにかどかどしく気色だちたれど、(源氏物語)

(訳)(文字の)点(や線)を長くしてすらすらと書き、どことなく気取っている文字は、ちょっと見ると才能がある趣きがあるけれど、

これらは、「才才し」のほうの意味ですね。

いとおし立ち、かどかどしきところものしたまふ御方にて、(源氏物語)

(訳)(弘徽殿女御は)たいそう我が強く、とげとげしいところがおありになる方で、

こちらは「角角し」のほうの意味ですね。

岩の上のかどかどしきもあるものを人の越ゆるをいたみだにせぬ (夫木和歌抄)

(訳)岩の上の角ばっているところのように、才能がある私であるのに、他の人が岩を越えるように私を追い越していくのを痛みとさえ感じない。

???両方???

この和歌は、「かどかどし」というひらがなにすることによって、「角角し」と「才才し」を掛けているのですね。