いとほし 形容詞(シク活用)

意味

① 気の毒だ・かわいそうだ

② かわいい

③ 困る・いやだ

ポイント

いとふ」という動詞が形容詞化したものです。「いとふ」は「いやがる」ということです。

気の毒でかわいそうな対象を目の当たりにすることは、できれば避けたい、いやなことですよね。

そのことから、「見るのがいやになるほど気の毒でかわいそうだ」という意味で使用されるようになり、次第に「気の毒だ」「かわいそうだ」という意味が中心的になりました。

なんでそれが「かわいい」になるんだ?

「気の毒なもの」「かわいそうなもの」というのは、多くの場合、力がなく、弱々しいものですよね。

たとえば、赤ちゃんが転んでウェーンと泣いていたら、「かわいそう」ではありますけど、同時にその姿を「かわいい」と思うこともあるでしょう。

ああ~。

たしかに、子どもがドジふんでる場合なんかは、「かわいそう」≒「かわいい」と言えるかもな。

現代語の「いとおしい」は、そういった「弱々しさ」に対して、「守ってやりたい」というニュアンスが強くなっていった語ですね。

例文

翁いとほしく、かなしと思しつることも失せぬ。(竹取物語)

(訳)翁を気の毒で、ふびんだとお思いになっていた気持ちも消えてしまった。

宮はいといとほしと思す中にも、男君の御かなしさはすぐれ給ふにやあらん。(源氏物語)

(訳)宮は(孫たちを)とてもかわいいとお思いになる中でも、男君のおかわいさはまさっていらっしゃるのだろうか。