接続詞 ― 接続語のうち、一単語の扱いになるもの ―

今日は「接続詞」について学びましょう。

やってやるぜ。

どんとこい。

では、まず「接続詞」を定義します。

「接続詞」の定義

◆自立語である。   (文節の先頭になる)
◆活用しない。    (語尾が変化しない)
◆接続語になる。   (前後の文脈の関係を示す)
◆修飾語にはならない。(うしろの語の修飾はしない)

たしか「接続」とか「接続」ていうのもあったよな。

それらは「文の成分」でを示すもので、文節のはたらきですね。1つの文節であれば「接続語」、複数の文節のまとまりであれば「接続部」などと呼びます。

一方で、「接続詞」「品詞」です。

ちょっと何を言っているのかわからないぞ。

「文の成分」というのは「文節」の区別で、「品詞」というのは「単語」の区別です。

混乱してきた。

「文の成分」「品詞」を混同しないように気を付けましょう。

「文の成分」は、「文節」の役割に名前をつけたもので、


主語(主部)
述語(述部)
修飾語(修飾部)
接続語(接続部) 
独立語(独立部)


5種類があります。

役目を奪われました。

「品詞」は、「単語」の特徴に名前をつけたもので、

動詞
形容詞
形容動詞

名詞
副詞
連体詞
接続詞
感動詞
助動詞
助詞


10種類に分かれます。

そういえばそうだったな。

たとえば、

いとうつくしう花なり。

の「いと」は何ですか?

と聞かれたらどう答えればいいんだ?

「いと」は「何ですか?」という雑な問い方はありません。

「いと」の「文の成分は何ですか?」と聞かれることはあります。

または、「品詞は何ですか?」と聞かれることはあります。

「文の成分」を問われているのであれば、正解は「修飾語」です。

「品詞」を問われているのであれば、正解は「副詞」です。

同じ傍線部でも、「問われ方」によって「答え方」も違うんだな。

そういうことか!

「文節」だと、「単語」が複数入っていることが多いですね。

単語が複数入っている「文節」全体に線を引いて、「品詞は何か?」と問うことはありません。

たとえば、

たれたれかと問へば、それそれと答ふ。

という文の「問へば」という部分に線を引いて、「品詞は何ですか?」と聞くことはできません。

「問へば」という部分には、動詞「問ふ」と接続助詞「ば」という「2つの単語」が存在するからです。

「品詞」を聞きたいのであれば、「単語ひとつ」に線を引かなければならないのです。

ふむふむ。

とにかく、「問われ方」に気をつけておけばいいんだな。

そうですね。

学校で教わる文法の場合、「文節」に対して「文の成分」が問われているのであれば、通常は、「主語・述語・修飾語・接続語・独立語」のどれかで解答します。

「単語」に対して「品詞」が問われているのであれば、「動詞・形容詞・形容動詞名詞・副詞・連体詞・接続詞・感動詞・助動詞・助詞」のどれかで解答します。

「ひとつの文節」は「ふたつくらいの単語」で構成されることもありますし、「ひとつの単語」で成り立っていることもあります。

だいたいわかった。

じゃあ、「接続詞」について学習しよう。

接続詞 = 接続語のうち「単語1つ」とみなされるもの

端的にいうと、「単語ひとつで接続語のはたらきをする品詞」「接続詞」といいます。

じゃあ、

命長ければ、はぢ多し。

という場合の「命長ければ」は「接続詞」ではないんだな。

そのとおりです。

「命長ければ」は「文の成分」でいえば「接続語」ですが、「命」「長けれ」「ば」という3つの品詞に分かれるので、「単語」ではありません

「単語」でないので「品詞」を問うことはできません。

じゃあ、たとえばだけど、

命長し。しからば、はぢ多し。

だったら?

それは「1単語」の扱いになるので、「接続詞」と言えます。

でも、それって、しかり」+「ば」で、「単語2つ」じゃないの?

もともとは「しかり」+「ば」です。

それが、「しからば」という「まとまり」でわかちがたく結びついていき、「一単語」のように扱われるようになったものが「接続詞」です。

ほとんどの接続詞は、こういった連語から生成されています。

じゃあ、「連語」ってことにしておけば、「接続詞」っていう品詞はいらないのにね。

すべて「連語」から生まれたわけではないのです。

たとえば「かつ」「また」「すなはち」「なほ」などは、もともと「副詞」であって、やがて「接続詞」としても使用されるようになっていきました。

「また」でいえば、「再び」「やはり」という意味の修飾語になっていれば「副詞」です。

一方、「ならびに」「および」という意味で、前後の関係を示す・・・・・・・・役割をしているのであれば「接続詞」です。

またも参り来む。(いま再び参上しよう)

行きかふ年もまた旅人なり。(行き交う年月もやはり旅人である)

という場合は、前後の関係を示しているわけではなく、修飾語として機能しているので「副詞」です。

髪いと長くうるはしく、下がり端などめでたき人、また、やむごとなき人の、~

という表現は、「髪がたいそう長く美しく、髪の先なども見事な人、ならびに、高貴な人が、~」という意味であす。これは、修飾語として機能しておらず、「前後の関係」を示していることになりますので、「接続詞」だと考えます。

一語の「副詞」から転成したものもあるんだね。

同じ「また」というひらがなでも、後ろを修飾していれば「副詞」で、前後の関係を示していれば「接続詞」ということなんだな。

接続詞の種類

「接続詞」は、前後の「関係」を示す品詞だということを見てきました。

さて、その「関係」は、因果関係であったり、添加する内容を示したり、いくつかの種類があります。

どのような「関係」なのか、細かく分けると次の①~⑧のようになります。

接続詞の種類

① 順接      さらば・かくて・かかれば・さらば・しかして・ゆゑに

② 逆接      されど・しかるに・かかれども・しかれども

③ 並列      および・ならびに・また

④ 添加      かつ・しかして・しかも

⑤ 対比・選択   あるいは・もしくは・または

⑥ 同格・説明   すなはち・たとへば

⑦ 補足      ただし・また

⑧ 転換      さて・そも

これは覚えたほうがいいのか?

いきなり表で覚える必要はありません。「使いこなしているうちに自然と覚える」というのが理想ですね。