なほ【猶・尚】 副詞

前から変わらず

意味

(1)依然として

(2)やはり・それでもやはり

(3)なんといっても

(4)いっそう・ますます・いよいよ・さらに

ポイント

前から続いているものが、そのまま続いている様子を意味する副詞です。

根本的には「依然として」という意味になります。

文脈的には、他のいろいろな状況を念頭においたうえで、「もともと中心視されていたもの」を変わらずに中心視するような場面で使われやすいです。

その場合、「やはり」という訳語を使用することが多いですね。

ああ~。

現代で、「夏はやっぱりアイスだよね」なんて言う場合、「チョコとか、ポテトチップとか、いくつかのお菓子を念頭においたうえで、「なんだかんだ言って、夏の主役は依然としてアイスだよね」と言っているわけだからな。

いろいろ見渡したうえで、夏のお菓子として「アイス」を変わりなく主役とみなすということは、夏のアイスは他を圧倒するNo.1ということになりますよね。

そういう観点では、「なんといっても」という訳し方をすることもあります。

あとは、「ある事態」が依然として続く様子が、ますますレベルアップしているような場合にも使用されます。

その場合は、「いっそう・ますます・いよいよ・さらに・もっと」などと訳すといいですね。

いまでも、「なおいっそう」とか言うもんね。

例文

夏は夜。月のころはさらなり、闇もなほ、蛍の多く飛び違ひたる。(枕草子)

(訳)夏は夜(がよい)。月の(出ている)ころは言うまでもなく、闇もやはり、蛍が多く飛び交っている(のがよい)。

世の中になほいと心憂きものは、人に憎まれむことこそあるべけれ。(枕草子)

(訳)世の中で何といってもたいそう辛いものは、人に嫌われるようなことであるに違いない。

東路の道の果てよりも、なほ奥つ方に生ひ出でたる人、(更級日記)

(訳)東国へ行く道の果て(である常陸国)よりも、さらに【いっそう】奥のほう(である上総国)で生まれた人(である私)は、