くちをし【口惜し】 形容詞(シク活用)

意味

① 残念だ・がっかりだ

② つまらない・おもしろくない

ポイント

「惜し(をし)」は「名残惜しい」「手放しにくい」という意味です。

「口」は当て字であり、「くち」の由来は「朽ち」「心地」などの説があります。

「朽ち」だとすると、「ダメになったもの」に対して「惜しい」と思っていることになりますね。

あわせると、「くち」+「をし」は、「期待に反する現象」に対しての「落胆や失望」を意味していると考えられます。そこで、「残念だ」「つまらない」などと訳すのですね。

「腐ったみかん」を発見して、「食べられなくて残念だ」って思っているような感じかな。

よいイメージだと思います。

似た意味の形容詞に「くやし」というものがありまして、こちらも「残念だ」と訳します。

ただ、「くやし」のほうは、「自分のしてしまった行為」を後悔する意味での「残念だ」ということです。

「くちをし」のほうは、「他人の行為や自然現象」など、自分の力ではどうにもならない状況でダメになったものに対して、「残念だ」と思う気持ちを示します。

なんか、現代語だとおんなじ意味に思えるけどな。

時代が経って、お互い似てきちゃったんでしょうね。

だんだん、「くちをし」を「くやし」の意味合いで使用する例も出てくるので、江戸時代くらいの古文の問題だと、「くちをし」を「くやしい」と訳すようなものもあります。

例文

わが子供の、影だに踏むべくもあらぬこそ口惜しけれ。(大鏡)

(訳)私【藤原兼家】の子供が、(藤原公任の)影さえも踏むことができないことが残念だ

「雀の子を犬君が逃しつる。伏籠のうちに籠めたりつるものを」とて、いとくちをしと思へり。(源氏物語)

(訳)「雀の子を犬君が逃がしてしまった。伏籠の中にとじこめていたのに」と言って、ひどくがっかりだと思っている。

「夜に入りてものの映えなし」と言ふ人、いとくちをし。(徒然草)

(訳)「夜になると物の見ばえがない」と言う人は、たいそうつまらない

これらの例文の共通点は、どれも「自分がしたことではないこと・・・・・・に対して、落胆・失望・不満の気持ちを持っていることです。

これが「くちをし」の特徴です。

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