かまへて 副詞

前段階から気合バッチリ

意味

(1)気をつけて・注意して・慎重に

(2)必ず・きっと・ぜひとも・何とかして *意志・命令の用法

(3)決して・絶対に(~ない) *禁止や打消表現を伴う用法

ポイント

動詞「構ふ(かまふ)」の連用形に「て」がついて一語化したものです。

「かまふ」が、「準備する・計画する」ということであるため、「かまへて」は「しっかり準備したうえで」ということになります。

副詞としての「かまへて」は、物理的・具体的な準備というよりは「心構え」のことであり、「しっかりした心構えをもって○○をする」という意味合いになります。

意志や命令では、「前段階からバッチリ気合いれてやろう/やれよ」という意味合いで用いているケースが多く、その際は「バッチリ気合」のところに意味の中心がありますので、「必ず・何とかして」などと訳すことになります。

ああ~。

偉い人が命令するときとかに見かけるよね。

そうですね。

「かまへて」は、禁止の命令でもよく使われます。

禁止命令の場合に「ぜひともそれをするな」などと訳すとなんだか変なので、「決してそれをするな」などと訳すことになります。

例文

馬盗人ありて、この馬を見て、きはめて欲しく思ひければ、「かまへて盗まむ」と思ひて、(今昔物語集)

(訳)馬盗人がいて、この馬を見て、非常に欲しく思ったので、「なんとかして盗もう」と思って、

かまへて、まろが面起こすばかりよき歌つかうまつれ。(増鏡)

(訳)必ず【ぜひとも】、私の面目をほどこすほどよい歌を詠み申し上げよ。

ある入試の選択肢問題では「注意して」が正解でした。

このように、(1)の意味と(2)の意味の境界はあいまいです。

かやうのものをば、かまへて調ずまじきものなり。(宇治拾遺物語)

(訳)このようなものを【狐を】、決してこらしめてはならないものである。