いふかひなし【言ふ甲斐無し】 形容詞(ク活用)

言うだけむだだよ

意味

(1)言っても仕方がない・言いようがない(ほど価値がない)

(2)どうしようもない・つまらない・取るに足りない

(3)情けない・みっともない・ふがいない

(4)身分が低い(言うほどの身分ではない)

(5)たわいない(取り扱うほど重要ではない)

(6)「死ぬ」の婉曲表現(「いふかひなくなる」のかたちで)

ポイント

「言ふ+甲斐かひ+無し」なので、「言う価値がない」「言っても効果がない」という意味になります。

表現的には「言っても仕方がない」ということですが、そのくらい「無価値であるさま」を形容していますので、文脈にあわせて、「取るに足りない」「つまらない」など、様々な訳し方をします。

「言う」っていう表現が訳出されなくてもいいんだな。

むしろないことのほうが多いですね。

たとえば「言ふかひなき際」などいう表現であれば、「取り立てて言うほどではない身分」という意味になりますが、あっさり訳せば「低い身分」ということになります。

ああ~。

そうやって文脈にあわせて、どういう点で言っても仕方がないのかについて考えればいいんだな。

解答欄に余裕があれば、「言いようがないほどつまらない」などと、長めに書いてもいいですよ。

例文

聞きしよりもましていふかひなくぞこぼれ破れたる。(土佐日記)

(訳)(うわさに)聞いていたよりもずっと、言いようがないほど(家が)こわれていたんでいる。

女、親なく、たよりなくなるままに、もろともにいふかひなくてあらむやはとて、(伊勢物語)

(訳)女が、親が亡くなり、よりどころがなくなるにつれて、(男はこの女と)いっしょに、ふがいなくみじめなさまでいてよいだろうか(いや、よくはない)と思って。

言ふかひなき人の郎等に組み落とされさせたまひて、討たれさせたまひなば、(平家物語)

(訳)取るに足りない人の家来に組み落とされなさって、お討たれになれば、

男の童の、ものおぢせず、いふかひなきを召し寄せて、(堤中納言物語)

(訳)男の子どもで、物怖じせず、身分が低い者を呼び寄せなさって、

いで、あな幼や。いふかひなうものし給ふかな。(源氏物語)

(訳)おやまあ、なんと幼いこと。たわいなくいらっしゃることよ。

若き御心にて、いふかひなくなりぬるを見給ふに、やるかたなくて、(源氏物語)

(訳)(源氏は)若いお心に、(夕顔が)死んでしまったのをご覧になると、たまらない気持ちで、

 

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★重要単語
減点されない古文