ものの / ものを 接続助詞

のに・・・ のになあ・・・

意味

(1)~けれども~のに・~が・~とはいうものの  *逆接確定条件

(2)~のになあ  *逆接的詠嘆 「ものを」にある用法

ポイント

形式名詞「もの」に助詞がついて一語化したものです。

「ものの」「ものを」が出てきたら、基本的に「逆接」で訳しましょう。

どっちも、現代語でも「逆接」で使うもんね。

「勉強したものの、点が取れなかった」とか。

そうですね。

「ものを」のほうも、「欲しいならそう言えばいいものを、要求はしないんだね」とったように、今でも「逆接」として通用していますね。

ああ~。

「ものを」って、接続助詞のわりには、文の最後にあることがけっこう多いよね。

「ミスさえなければ勝てたものを…」

みたいな。

ですね!

「ものを」については、後件を書かない場合がけっこうあるんですよ。

雀の子を犬君が逃がしつる、伏籠のうちに籠めたりつるものを

とか。

でも、それについては「倒置」になってるんじゃないの。

ああ~。

いまの例文でいうと「倒置」ともいえますね。

ただ、

伏籠のうちに籠めたりつるものを(残念だなあ・・・)

というように、「後ろ」に書くはずの表現を省いているともいえます。

ああ~。

「言わなくてもわかるよね」みたいな感じかな。

そうですね。

和歌なんかの場合、「言い過ぎ」もよくないですから、「あえて書かない」ということも多いですよね。「ものを」はそういうときにけっこう使われます。

白玉か 何ぞと人の 問ひし時 つゆと答へて 消えなましものを
(白玉か何かと人が尋ねた時、露と答えてわが身も消えてしまったらよかったのになあ・・・)

といったように、「ものを」で言い終えてしまう使い方です。「逆接的詠嘆」と呼ぶこともありますし、これを「終助詞」とみなす考え方もあります。

例文

つれなくねたきものの、忘れがたきにおぼす。(源氏物語)

(訳)(源氏は空蝉を)冷淡でにくらしいけれども、忘れがたい者とお思いになる。

都出でて 君に逢はむと 来しものを 来しかひもなく 別れぬるかな (土佐日記)

(訳) 都を出て、あなたに会おうとやって来たのに、来たかいもなく、別れてしまうことだなあ。

梓弓 引けど引かねど 昔より 心は君に 寄りにしものを (伊勢物語)

(訳)梓弓を引いても引かなくても(あたなが私の心を引こうが引くまいが)、昔から私の心はあなたに寄り添っているのになあ

「逆接的詠嘆」の用法ですね。

これを終助詞とする考え方もあります。