すきずきし【好き好きし】 形容詞(シク活用)

好きなことに一直線!

意味

(1)風流だ

(2)好色だ・色恋に一途だ・浮気だ

(3)物好きだ・趣味に凝りすぎている

ポイント

動詞「好く」の連用形「すき」を重ねて形容詞になったものです。

「好く」は、基本的には「男性が女性に関心を寄せること」に多く用いられましたが、「趣味や風流の世界」に一途であることも示しました。

「一途」なのに「浮気」なの?

これはですね、「一人の女性に一途」というよりは、「恋愛そのものに一途」なんですよね。

ああ~。

「恋愛体質」的なやつか。

そうですね。

ただ、けっこう肯定的な文脈で使用されることも多いです。

「恋愛」に関心が深いのも、「趣味」に関心が深いのも、本業のまじめな仕事とは別のことに知識や技能があることを示していますね。それをむしろ、「粋」や「風流」という観点で、ほめる場合があります。

「モテようとする」ということは、服装に気をつかったり、和歌を上手に詠めるようになったりするわけだから、洒落た感じの人物として評価されたんだろうね。

純粋に趣味の世界に走っている人も、ある意味かっこいいですよね。そういう「マニア的な世界観を持っている」ことも「すきずきし」と言いました。

また、語り手が自分自身のことを「すきずきし」という場合は、謙遜の気持ちで「いやあ、私なんか物好きなだけです……」という意味合いで使っていることがありますね。

あるいは、自分の行動でありながら、ふと我にかえって、「ちょっと凝りすぎかなあ」といっているような場合もあります。そういう場合は、③の意味でとるのがいいですね。選択肢問題だと、「酔狂だ」などの訳になることもあります。

例文

すきずきしき方にはあらで、まめやかに聞こゆるなり。(源氏物語)

(訳)好色な【浮気な】気持ちではなく、まじめに申し上げるのである。

御誦経などあまたせさせたまひて、そなたに向きてなむ、念じ暮らしたまひける。好き好きしうあはれなることなり。(枕草子)

(訳)(和歌の暗唱の試験がうまくいくように、寺にたのんで)読経などをたくさんさせなさって、その方向【内裏】に向かって、一日中祈ってお過ごしになった。(そのことは)風流で趣き深いことである。

かうすきずきしきやうなる、のちの聞こえやあらむ。(源氏物語)

(訳)このように物好きのようであることは、のちの評判になるだろうか。