似たり寄ったり
意味
(1)一般に・すべて・総じて *多くのものをまとめた総括として
(2)一面に *空間的なものとして
(3)普通・並 *相対的な評価として
「なべてならず」の形で・・・
(1)並々でない・格別だ・際立っている
ポイント
「並ぶ」に「て」がついて「並べて」になりました。
たくさんのものが同じ状態で並んでいる様子を表しています。
そのことから、「一般に」「一面に」「並一通りに」といった意味になります。
「どんぐりのせいくらべ」みたいなイメージだな。
まさにそんな感じです。
「なべて」は、「なべてならず」という連語で使用されやすいのですが、その場合、良い意味で「普通ではない」ということになります。
たくさん並んでいる中で、ひとつだけ抜きんでている状態なんだな。
例文
この法師のみにあらず、世間の人なべてこのことあり。(徒然草)
(訳)この法師だけではなく、世間の人はすべてこのようなことがある。
本文では直前に「本来の目的を忘れる」という話題があり、「このこと」はそれを指しています。
秋風の吹きと吹きぬる武蔵野はなべて草葉の色変はりけり
(訳)秋風が吹きに吹いた武蔵野は 一面に草葉の色が変わったなあ
いみじく多く生ひ広ごりて、なべての瓢にも似ず、大きに多く生ひたり。(宇治拾遺物語)
たいそう多く生え広がって、普通の瓢(ひょうたん)とは違って、大きく多く(実が)成った。
按察使の大納言の御むすめ、心にくくなべてならぬさまに、親たちかしづき給ふこと限りなし。(堤中納言物語)
(訳)按察使の大納言の姫君、奥ゆかしく並々でない様子に、親たちが大切にお育てになることこの上ない。
「なべてならず」は、良いほうの意味で「並ではない」ということなので、ここでは、「格別な様子」「際立った様子」などと訳してもいいですね。