もてなす【もて成す】 動詞(サ行四段活用)

対象の性質を活かして扱う

意味

(1)取り扱う

(2)ふるまう

(3)待遇する

ポイント

「成る」の他動詞型である「成す」に、接頭語「もて」がついた動詞です。物事や人に対して何らかの処遇をするということです。

「もて」は、もともとが「持ちて」であることから、「もてなす」は、対象の性質を生かして適切に取り扱うイメージが強いですね。

「もてなす」対象が「モノ」であれば(1)「取り扱う」、対象が「自分」であれば(2)「ふるまう」、対象が「他人」であれば(3)「待遇する」と訳しましょう。

現代語だと、もっぱら(3)の意味だけど、古文だと(1)と(2)の意味もあるんだな。

現代語訳の問題だと、(3)は「もてなす」とそのまま書いても意味が通じるので、試験にかんしていえば、(1)か(2)の意味を問うことが多いですね。

例文

あるにしたがひ、定めず、何事ももてなしたるをこそ、よきにすめれ、(枕草子)

(訳)状況にしたがって、こうと決めずに、何事も取り扱うことを、よいこととするようだ、

下には思ひ砕くべかめれど、誇りかにもてなして、つれなきさまにしありく。(源氏物語)

(訳)心の中では思い悩んでいるに違いないようだが、誇らしげにふるまって、平然とした様子をして過ごしている。

限りなき御志の、年月に添ふやうにもてなさせたまふに、(源氏物語)

(訳)限りないご情愛が、年月に伴って増すようにご待遇なさるが、

例文の1つめは「物事」に対して、2つめは「自分」に対して、3つめは「他人」に対しての「もてなす」です。