年をかさねる
意味
(1)年をとる・成長する・ふける
(2)(実際の年齢よりも)大人びる・ませる
ポイント
「老ゆ」とほぼ同じ意味ですが、「おゆ」のほうが、「高年齢」を指すことが多いです。
一方、「ねぶ」は、子どもから青年になるくらいでも使用します。また、実際の年齢よりも「大人びる」という意味で使うことも多いです。
つまり、「老ゆ」が「衰える」という意味を含みやすいことに対して、「ねぶ」は、シンプルに「年を重ねる」という意味で用いられています。
「ねぶ」は何か語源的なものはないのかな?
けっこういろいろな本を読んでも、これといった説を発見できないので、現時点での個人的な考察を述べていいでしょうか。
どうぞどうぞ。
「年(ねん)」に、反復・継続の意味をもつ接尾語「ふ」がついて、「ねんぶ」になったんじゃないかなあ、と思っています。
「ふ」は、主に「反復・継続」と言われますが、「積み重ね」の意味でも用いられますので、「年を積み重ねる」ということなのではないかなあ、ということで。
見当違いだったら申し訳ありません。
まあでも、けっこう納得させられるよね。
読者のみなさまにおかれましては、本件は勝手に私見を述べているだけなので、ご承知おきください。
もし、何らかの説をご存じの方がいらっしゃれば、ご教示いただけますと幸甚です。
例文
主上今年は八歳にならせ給へども、御年のほどよりはるかにねびさせ給ひて、(平家物語)
(訳)主上【安徳天皇】は今年は八歳におなりになるけれども、ご年齢のほどよりはるかに大人びていらっしゃって、
かたちなどねびたれど、清げにて、ただならず気色よしづきてなどありける。(源氏物語)
(訳)(伊予介は)容貌などは年取っていた【ふけていた】が、きれいで、並々でなくそぶりが由緒ある様子などであった。