すずろなり・そぞろなり【漫ろなり】 形容動詞(ナリ活用)

目的や意図などがない。

意味

(1)あてもない

(2)むやみやたらに・むやみに *連用形「すずろに」「そぞろに」

(3)思いがけない

(4)わけもない

(5)いい加減だ

(5)無関係だ

ポイント

「漫然」「冗漫」の「漫」という字のイメージをつかんでおきましょう。「漫」は、「目的・意図・根拠・理由」といったものがない状態を意味しています。

そのことから、「あてもない」「思いがけない」「わけもない」といった意味になります。

ああ~。

「漫然」とか「冗漫」とか「漫」という字は、「気の向くまま」って感じのゆる~いイメージがあるね。

そうですね。

そのことから、「いい加減だ」とか「関係がない」と訳すこともあります。

それから、「すずろなり」「そぞろなり」は、多くの場合「すずろに」「そぞろに」という形で用いられます。

その際は、「あてもなく」と訳してもよいのですが、持続的、反復的な行為についている場合には「むやみに」「むやみやたらに」と訳すことも多いですね。

現代でも使う「そぞろ歩き」なんていう言葉は、「あてもなく、むやみやたらに歩くこと」だから、この「漫ろなり」から来てたんだな!

例文

昔、男、すずろに陸奥国まで惑ひにけり。(伊勢物語)

(訳)昔、男が、あてもなく陸奥国までさまよい出かけた。

すずろに飲ませつれば、うるはしき人もたちまちに狂人となりて、(徒然草)

(訳)むやみに(酒を)飲ませてしまうと、端正な人もにわかに狂人となって

主ある家には、すずろなる人、心のままに入り来ることなし。(徒然草)

(訳)主人のいる家には、関係のない人が、思いのままに入ってくることはない。