おいらかなり 形容動詞(ナリ活用)

老成している

意味

(1)おだやかである・おっとりしている *性格について

(2)穏便だ・平静である *態度について

(3)あっさりと・すっきりと *連用修飾語として(副詞的な用法)

ポイント

「老い」からきていると言われる形容動詞です。

一般的に、老いた者(年齢を重ねた大人)のほうが活動が平坦ですので、「穏やかだ」「おっとりしている」などと訳します。

まあ、キレまくってる大人もかなりいるけどな。

大人とはいえない大人のことはいったん例外扱いにしましょう。

基本的には、おばあちゃんなんかは、穏やかだし、おっとりしているイメージだよね。

一般的なイメージはそうなりますね。

また、老いた者は、「物事への執着心」も「薄い」と言えますので、「あっさり」「すっきり」という意味合いでも用いられます。

それが(3)の用法なのですが、こちらは主に「おいらかに」という連用形で用いられます。「あっさりと~する」「すっきりと~する」というように、連用修飾語として何かの動作に係っていく使い方がほとんどですね。

(2)の用法の場合、選択肢問題では「単刀直入に」とか「率直に」などと訳したりもします。

例文

御こころばへいとなつかしう、おいらかにおはしまして、(大鏡)

(訳)ご性格はたいそう親しみやすく、おだやかでいらっしゃって、

女御の御つれづれにことつけて、ここにもかしこにもおいらかに言ひなして、渡したまふなりけり。(源氏物語)

(訳)女御【弘徽殿の女御】の所在なさを口実にして、あちらこちらに穏便に【角が立たないように】言いつくろって、(姫君を自邸に)お移しになったのだ。

おいらかに、「あたりよりだにな歩きそ」とやはのたまはぬ。(竹取物語)

(訳)率直に【すっきりと】、「付近でさえ歩き回ってはいけない」とおっしゃらないのか。