ほいなし【本意無し】 形容詞(ク活用)

意味

① 残念だ・がっかりだ

② 不本意だ・意に沿わない

ポイント

「本意」は、もともとは「ほんい」ですが、撥音「ん」を表記しないことから、そのまま「ほい」と読むようになったようです。

「本」は「かねてから」ということで、「意」は「したいこと」ですから、「本意」は「かねてからの希望」ということになりますね。

それが「無し」なので、「かねてからの希望がかなわない状態」になります。

その状態について、「残念だ」と思うときに使用することが多いですね。

現代語では、「本意」は「ほんい」って言うのにね。

古典語でも「本意」のもともとの発音は「ほんい」です。

「ん」というひらがながまだなかったときに「ほい」と書いていたことで、まず、「書き」は「ほい」で読みは「ほんい」という時期があったはずです。

ただ、「ん」というひらがなが成立したあとにも、ひらがなでは「ほい」と書かれていることから、どこかのタイミングで発音自体も「ほい」になっていったと考えられています。

そういう経緯を考えると、「なし」がついて一語の形容詞として用いられているものは、「ほいなし」と読むのが正しく、「ほんいなし」とは読まないほうがいいですね。

現代語でも、「本意なく~」というように、「本意」の下に「ない」がつく場合には、「ほいなく~」と読むのが正しいです。

「本意」という名詞として使用する場合には、現代語としては「ほんい」と読みますね。

ただ、古典の試験だったら「本意」という名詞も「ほい」と読んでおいたほうが無難です。

へえ~。

現代語でも、「本意ない」という場合には「ほいない」なんだな。

慣用的には「ほいない」が正しいです。

このように読み方にはちょっと注意が必要ですが、意味は古典語でも現代語でもほぼ同じです。

記述問題であれば、「残念だ」としておけばだいたい大丈夫です。

選択肢問題であれば、「がっかりだ」「物足りない」「期待外れだ」「気に入らない」など、いろいろな訳し方をしてきますが、「かねてからの希望がかなわない」という主旨に沿う訳を選んでください。

例文

過ぎ別れぬること、かへすがへすほいなくこそおぼえはべれ。(竹取物語)

(訳)お別れしてしまうことは、本当に残念に思います。

秋になりて待ち出でたるやうなれど、思ひしにはあらず、いとほいなく口惜し。(更級日記)

(訳)秋になって、待っていた中で出たわけ【得た任官】であるけれど、思っていたものではなく【望んでいた国ではなく】、たいそう不本意で残念だ。

この例文の「ほいなし」は、直後に「口惜し」がありますので、「ほいなし」を「残念だ」と訳してしまうと、「残念で残念だ」という訳になってしまいます。

そもそも「ほいなし」は、「①不本意だ(意に沿わない)」→「②そのことが残念だ」ということなので、こういう場合には①の訳をしておきましょう。

 

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