この先にあるはず!
意味
(1)さがし求める・追い求める
(2)調べて明らかにする・調べる
(3)問いただす・質問する
(4)訪れる・訪問する
ポイント
目指す先まで続いているはずの糸のような「道筋」があって、それをたよりに対象に近づこうとするイメージの動詞です。
「目的の事物」に近づくということで「探し求める」
「目的の情報」に近づくということで「調査する」「質問する」
「目的の場所」に近づくということで「訪問する」
などという意味になります。
「むやみやたらに探し回る」というよりは、「ねらいを定めて追求していく」ようなイメージなんだね。
そうですね。
あれこれ迷いながら探し求める場合には、「辿る(たどる)」という語を使うことが多いです。
「たどる」は、「迷いながら行く」「思案する」という意味合いの語で、自動詞として用いると「途方に暮れる」という意味で使います。
ああ~。
「たどる」の場合は、ねらいが定まらずにふらふらしているわけだね。
はい。
対して、「たづぬ」の場合は、「この先にあるはずだ」っていう気持ちで進んでいく感じです。
「求む(もとむ)」っていうのもあるよね。
「もとむ」は、「もと」まで「行こう」とすることなので、「かくれているものを見つける」というイメージのことばです。
訳は「たづぬ」と同じように「さがし求める」となりますが、「もとむ」のほうが「今はここにないものを手に入れたい」という「獲得への意志」が強い感じがします。
そのため、何かを欲しがって探す場合には「もとむ」を使うことが多いです。
例文
京の御住みか尋ねて、(源氏物語)
(訳)京のお住まいをさがし求めて、
人々の、花、蝶やとめづるこそ、はかなくあやしけれ。人は、まことあり、本地たづねたるこそ、心ばへをかしけれ。(堤中納言物語)
(訳)人々が、花よ蝶よとかわいがるのは、浅はかでおかしなことだ。人は、誠実な心があり、ものの本質を追究することこそ、心がまえが立派なのだ。
「追い求める」という意味で「追求する」と訳してもいいですが、「調べて明らかにする」という文脈であれば「追究する」などと訳してもいいですね。
あやしく思し召して、「何者の家ぞ」とたづねさせ給ひければ、貫之のぬしの御女の住む所なりけり。(大鏡)
(訳)(帝は)不思議にお思いになって、「何者の家なのか」と調べさせなさったところ、貫之殿の娘【紀内侍】の住む所であった。
ここでの「させ給ひ」の「させ」は、「誰かに調査させる」という「使役」の意味で取りましたが、直前に「思し召す」という最高敬語があり、「帝」の行為が続いていることになりますので、「させ」を「尊敬」の意味でとって、「お調べになったところ」と訳すこともできます。
ただ、「帝自身」が、その土地の周辺の人に聞き込み調査をしたり、土地の台帳をペラペラめくったりはしないでしょうから(誰かにさせるでしょうから)、「調べさせなさった」と「使役」の意味でとるのが自然です。
上もうち驚かせ給ひて、「いかでありつる鶏ぞ」などたづねさせ給ふに、(枕草子)
(訳)天皇も目をお覚ましになって、「どういうわけで(ここに)いた鶏なのか」などと問いただしなさると、
「上(天皇)」の行為であり、「 」の中身も帝自身の発言なので、「させ給ふ」の「させ」は「尊敬」だと考えます。
「尊敬の助動詞」+「尊敬語」のセットであり、最高敬語になります。
有宗入道、鎌倉より上りて、尋ねまうで来りしが、(徒然草)
(訳)有宗入道が、鎌倉から上京して、(私を)訪ねて【訪問して】まいりましたが、