たひらかなり【平らかなり】 形容動詞(ナリ活用)

トラブルなし!

意味

(1)(高低がなく)平らだ

(2)おだやかだ・安らかだ

(3)平穏だ無事だ

ポイント

シンプルに「道が平らだ」ということなのですが、「心」が「平ら」であることや、「凸凹のトラブルがない」ことを意味するようになりました。

用例としては(3)の「無事だ・平穏だ」という意味で用いることが多いです。

ああ~。

たしかに「何事もない」というイメージがあることばだよね。

そうですね。

「たひらか ≒ 何事もない」というイメージでとっておくと、だいたい訳せると思いますよ。

例文

昔は人の心平らかにて、世に許さるまじきほどのことをば、 思ひ及ばぬものとならひたりけむ、(源氏物語)

昔は人の心もおだやかで、世間に許されないだろうこと【身分違いの恋】は、思いも及ばないものと(いうのが)世の習いであっただろうが、

「詣づるほどのありさま、いかならむ」など、つつしみ怖ぢたるに、たひらかに詣で着きたるこそ、いとめでたけれ。(枕草子)

(訳)「(御嶽に)参詣する時の様子は、どれほど(大変なの)だろうか」などと、身を慎み恐れていたが、無事にお参りして帰り着いたことは、たいそうすばらしいことだ。

たひらかにおはしますうれしさのたぐひなきに、男にさへおはしましける喜び、いかがはなのめならむ。(紫式部日記)

(訳)(彰子とその子が)無事でいらっしゃるうれしさは比類ないのに、そのうえ男児でまでいらっしゃった喜びは、どうして並一通りであろうか。

和泉の国までと、たひらかに願立つ。(土佐日記)

(訳)和泉の国まではと、平穏無事であるように願をかける。

「平穏」と「無事」は、いっしょにして「平穏無事」としてもいいケースも多いですね。

選択肢問題では、「何事もない」と訳してくることもあります。