【動詞】四段活用 ― 動詞の多くは四段活用 ―

今日は四段活用について学びましょう。

活用形は、「それ自体」を暗記するより先に、たとえば「ず」の直前は「未然形」になる、といった「接続」を覚えたほうがいいです。

主な接続の関係

未然形につく
 ず・む・むず・る・らる・す・さす(助動詞)

連用形につく
 たり・けり・き(助動詞)
 (接続助詞)
 用言(補助動詞など)

終止形につく
 と・とて(引用をうける助詞)
 句点

連体形につく
 体言(とき・ところ・こと)
 を・に・が(接続助詞)

已然形につく
 ど・ども(接続助詞)
 (接続助詞)*未然形につくこともある

命令形につく
 と・とて(引用をうける助詞) 
 句点


上に示した「接続の関係」は、早い段階で覚えてしまったほうがよいです。

各種の「活用表」を覚えるよりも、先にこちらを覚えてしまいましょう。

「べし」は終止形(ラ変は連体形)につくなど、他にもいろいろありますが、まずは上に示したものを優先して覚えましょう。

ということは、「わたる」という動詞の下に「ず」があるときは、「わたらず」になるから、「わたる」の未然形「わたら」ということになるんだな。

そうです。

「わたる」の場合、「わた」は変化せずに、「る」のところが変化しますね。

「わた」のところを「語幹」といい、「る」のところを「活用語尾」といいます。

並べて書くと、次のようになります。

(例)「わたる」の活用表

【語幹】 | 未然形/連用形/終止形/連体形/已然形/命令形
 わた  |  ら   り   る   る   れ   れ

ふむふむ。

学校の教科書みたいに書くと、次のようになります。

 わ 語
 た 幹
ーーー
 ら 未
   然
ーーー
 り 連
   用
ーーー
 る 終
   止
ーーー
 る 連
   体
ーーー
 れ 已
   然
ーーー
 れ 命
   令

ああ~。

よく黒板に書いてあるな。

これが、いわゆる「活用表」というものですね。

先生の板書などでは、「連用形」を「用」連体形を「体」と略すことも多いと思います。

活用語尾が4つの音で変化する

「行く」「思ふ」「乗る」などの活用表も見ておきましょう。

 の | お | ゆ 語
   | も |   幹
ーーーーーーーーーーー
 ら | は | か 未
   |   |   然
ーーーーーーーーーーー
 り | ひ | き 連
   |   |   用
ーーーーーーーーーーー
 る | ふ | く 終
   |   |   止
ーーーーーーーーーーー
 る | ふ | く 連
   |   |   体
ーーーーーーーーーーー
 れ | へ | け 已
   |   |   然
ーーーーーーーーーーー
 れ | へ | け 命
   |   |   令

どれも、母音のパターンは同じなんだな。

どれも、

未然形/連用形/終止形/連体形/已然形/命令形
 a   ⅰ   u   u   e   e


となっているな。

「4つの音」にわたって活用するので、「四段活用」といいます。

「四段活用」の動詞は、すべて同じパターンで活用します。

動詞の活用の種類はぜんぶで9種類ありますが、この「四段活用」が最も多いのですね。

口語文法(現代語の文法)では、五段活用なのにね。

「わたらむ」がやがて「わたろう」となり、「行かむ」がやがて「行こう」となり、「思はむ」がやがて「思おう」となっていった経緯で、「o(オ)」の音が活用表に入ってきたんですね。そのことから、口語文法では五段活用といいます。

文語文法(古文の文法)では四段活用です。

でも、このあいだ、学校の古文の試験で、「思ふ」の「活用の種類」は何ですか?という問題に、「四段活用」と答えたら×だったぞ。

活用する行も確認しよう。

学校の試験では、「活用行」も書くことが暗黙の了解になっていることが多いので、おそらく「ハ行四段活用」と書かなければいけなかったんでしょうね。

ええ~。

それだったら、設問に「活用行も書くこと」って書くとか、解答用紙を【  行   活用】っていう感じに穴埋めっぽくするとか、作成側にも配慮してほしいよな。

そうですよね。

そういう指示がなかったのであれば、×にはしないでほしいですね。

でも、先生って、「授業で言ったでしょ」とか言って、×にするんだよな~。

なんか学校ってそういうところあるよな。

試験の中での論理性や自律性を離れて、「授業で言ったからこれが正解」とするやり方はやめてほしいですよね。

ああ~。

漢字で書く指示がないのに、ひらがなで書くと×にしたりするんだよな~。

それだったら、「漢字で書け」って設問に書いておいてほしいよな~。

ち、ちなみに、「活用行」については、「サ行」とか「ヤ行」とかいったように、「カタカナで書く」という暗黙の了解があります。

「活用する行」については、こちらの演習を参考にしてください!