かなしうす【愛しうす】 動詞(サ行変格活用)

漢字は「愛」のほう

意味

(1)かわいがる・いとしく思う

ポイント

形容詞「かなし」の連用形「かなしく」にサ変動詞「す」がついて、「く」がウ音便化したものです。

「かなしうす」は、「かなし」の行為版なので、「かわいがる・いとしく思う」などと訳しましょう。

形容詞「かなし」は、「愛」なら「かわいい・いとしい」という意味で、「悲・哀」なら「悲しい・気の毒だ」という意味だったな。

ひらがなで書かれているとつらいやつだ。

形容詞の「かなし」には、「かわいい・いとしい」という意味と、「悲しい・気の毒だ」という意味がありますが、「かなしうす」という動詞で用いる場合、「かわいい・いとしい」のほうに限定されます。

「かわいがる・いとしく思う」など訳しておけば大丈夫です。

「かなしうす」だと「愛」のほうの意味に決定ということなんだな。

例文

ひとつ子にさへありければ、いとかなしうしたまひけり。(伊勢物語)

(訳)ひとりっ子でもあったので、(親はその子を)たいそうかわいがりなさった。

「かなしう」だけに線が引かれて問われた場合、形容詞「かなし」の連用形「かなしく」のウ音便と答えることになります。

「し」はサ変動詞「す」の連用形ですので、「かなしうし」に線が引かれて問われた場合、サ変動詞「かなしうす」の連用形と答えることになります。

親などのかなしうする子は、目立て耳立てられていたはしうこそおぼゆれ。(枕草子)

(訳)親などがかわいがる子は、(周囲からも)注目され聞き耳を立てられ大切にしようと思われる。