らうたし【労たし】 形容詞(ク活用)

この子のためならどんな苦労もへっちゃらだ!

意味

(1)かわいらしい・いとしい

(2)かわいそうだ・気の毒だ

ポイント

らう」に「いたし」がついた「ろういたし」が、「ろうたし」となりました。

「いくらでも苦労したいと思える対象」に用いやすい形容詞です。

子どもなど、保護が必要な存在に使用することが多く、「かわいらしい」「いとしい」などと訳します。

ああ~。

よくドラマなんかで、「この人となら幸せになれるという相手じゃなくて、この人となら苦労してもいいと思う相手と結婚しなさい」なんて言うもんな。

まさにそういう対象ですね。

「この人のためなら労力を費やしたい」という気持ちや、そう思えるほどかわいらしい様子を表す形容詞です。

対象が「子ども」や「女性」といった「かわいがるような存在」でなければ「かわいそうだ」「気の毒だ」と訳しておきましょう。

たしかに、おじさんに「かわいい」ってあんまり言わないもんな。

「らうたし」から派生した「らうたげなり」という形容動詞もあります。

こちらは基本的に「見た目」にしか使いませんので、「かわいらしい」と訳しておけば大丈夫です。

例文

御目のしりの少し下がりたまへるが、いとどらうたくおはするを、(大鏡)

(訳)目じりが少し下がっていらっしゃったのが、ますますかわいらしくいらっしゃるので、

らうたく、いたづらになりぬとききつるを、今は宮仕へせむと思ふにやあらん。(宇津保物語)

(訳)かわいそうに、世捨て人になったと聞いたが、今は宮仕えをしようと思うのであろうか。

「らうたし」は、「お世話したい!」と思うほど、「相手が力のない状態である」ということです。

そのため、対象が子どもなら「かわいい」、女性なら「いとしい」、子どもでも女性でもなければ「かわいそうだ」といったように、何を形容するのかによって、訳を工夫するといいですね。