をこなり【痴なり】 形容動詞(ナリ活用)

ばか・である!

意味

(1)愚かだ・ばかだ・ばかげている・ばかばかしい

「痴(をこ)」+「に」+「あり」であり、「ばか・だ」と考えておけばOKです。

類義語に形容詞「をこがまし」があります。

形容詞「をかし」も類義語じゃないの?

同根のことばではありますが、「をかし」「趣きがある・興味深い」といった「プラスの意味」で使用しますので、マイナスの意味で用いる「をこなり」「をこがまし」とは、使われ方がだいぶ異なります。

例文

君達は元輔がこの馬より落ちて、冠落としたるをばをこなりとや思ひたまふ。(今昔物語集)

(訳)あなた様方は(清原)元輔【私】がこの馬から落ちて、冠を落としたことを愚かだとお思いになるか。

我がしたることを、人々騒ぎ合ひたり。をこことかな。(宇治拾遺物語)

(訳)私がしたことを、人々が騒ぎ合っている。ばかげたこと【愚かなこと】であるよ。

語幹「をこ」に、格助詞「の」がついた形で、いわゆる「形容動詞の語幹用法」になります。