不十分ながら、がんばって取り組む!
意味
(1)何はともあれ・何はさておき・とにかくも *不十分ながらまずは急ぐ
(2)ひとまず・さしあたり・とりあえず *不十分ながら適した処置をする
(3)やっとのことで・どうにかこうにか *不十分ながら力を尽くす
ポイント
漢字を当てると「且つ且つ」とか「且」などと書くのですが、もとは動詞「克つ」を重ねた語だと言われています。
「克つ」は「こらえる・できる」という意味であり、「かつがつ」は「こらえこらえ」ということになります。
たとえば、「ある困難」が眼前にある状況で、「たやすくそれを解決できるわけではなく、不十分な接し方にはなってしまうけれども、なんとかして対応する」という場合に使用されやすいです。
「緊急性」のニュアンスを持つことが多く、その場合は「何をさしおいても真っ先に取り組む」という意味で、「何はともあれ」「何はさておき」などと訳します。
「真っ先にことにあたる」という「緊急性」の意味が強ければ(1)の訳になって、「ひとまずその場にふさわしい処置をする」という意味が強ければ(2)の訳になる感じかな。
そういう使い分けをすることが多いですね。
ただ、(1)と(2)の意味の境目はあいまいなので、「何はさておきとりあえず」といったように、どちらも訳に出てくるケースもあります。
記述問題の場合は、文脈上どちらでも通じるのであれば、どちらで訳しても×にはなりません。
多くは(1)か(2)の意味ですが、「緊急対応」「応急処置」の意味合いが薄い場合には、(3)のように「不十分な力を何とかふりしぼって」という意味合いで使用することもあります。
例文
かつがつ南都の狼藉を鎮めんとて、備中国の住人、瀬尾太郎兼康、大和国の検非所に補せらる。
(訳)(平清盛は)何はともあれ【何はさておき】南都の騒動を鎮圧しようとして、備中国の住人である、瀬尾太郎兼康を、大和国の検非違使所の長官に補任される。
「かつがつ、式神一人内裏だいりに参れ。」と申しければ、目には見えぬものの、戸をおしあけて、(大鏡)
(訳)「とりあえず【さしあたり】、式神一人内裏に参上せよ。」と(晴明が命じて)申し上げたところ、目には見えない者が、戸を押し開けて、
渡りの津に泊まりて、夜一夜、舟にてかつがつ物など渡す。(更級日記)
(訳)渡し場の津【船着き場】に泊まって、一晩中、舟でどうにかこうにか【やっとのことで】荷物などを(対岸に)渡す。