ここち【心地】 名詞

意味

① 気分気持ち

② 考え・配慮

③ 病気・気分がすぐれないこと

ポイント

「心地」に似ていることばに「心」がありますが、ニュアンスはちょっと違います。

「心地」は、その場の雰囲気から生じる「気分」を意味します。一方、「心」は、ある物体がそもそも持っている「本質」や、対象に向かう「意志」「意向」といったものを意味することに対して、

「心地」外発的で、「心」内発的ということかな。

常にそうであるわけではありませんが、そうなりやすいです。

「心地」は場面的、場当たり的、短期間的な傾向があるともいえます。

一方、「心」は、本質的、根本的、中心的、長期間的な傾向がありますね。

「悪口言われたからムカついた!」なんていうのは、どちらかというと「心地」なんだな。

その場の雰囲気に左右されて生じた気分には「心地」を使用することが多いですね。

それから、「心地」は「病気」とか「気分の悪さ」などと訳すこともあります。

「病気?」

理屈がわからないぞ。

「気分」が意識されるときって、どちらかというと「気分が悪い」ときではありませんか?

調子が悪いときこそ、「なんか気分悪いな・・・」と思いますよね。

ああ~。

たしかに、気分がいいときよりも、気分が悪いときのほうが、「気分・・・」って思うかもしれないな。

誰かが、顔面蒼白で「気分が・・・」って言っていたら、周りは「気分悪いの? 大丈夫?」ってなりますよね。

そんなふうに、状況によっては、「心地・・・」というだけで、「悪い気分」を意味することがあります。それがそのまま「病気」を意味することもあるんですね。

たとえば、「ふう・・・、心地がおさまったぜ」っていうセリフが、「悪い気分がなおったぞ」っていう意味として成立するということだな。

そのとおりです。

登場人物が落ち込むような話題が直前にあったり、あるいは直後に「治る」とか「回復する」といった意味内容があれば、「悪い気分」とか、「病気」と訳したほうがいい場合がありますね。

例文

恋しき心地しばし休めて、またも恋ふる力にせむとなるべし。(土佐日記)

(訳)恋しい気持ちをしばらく休めて、さらに思い慕う力にしようとするのだろう。

御息所はかなき心地にわづらひて、(源氏物語)

(訳)御息所(桐壺の更衣)は、ちょっとした病気で苦しんで、

中納言たちまちに御心地もやみてめでたし。(落窪物語)

(訳)中納言はたちまちにご病気も治って、すばらしい。