いちはやし【逸早し】 形容詞(ク活用)

激しい勢い!

意味

(1)激しい・熱烈だ・猛烈だ・一途だ

(2)厳しい・容赦ない

(3)すばやい・性急だ・せっかちだ

ポイント

古くは、激しくおそれ多い神の力を「イツ」といいまして、「いつくし(厳し)」「いつく(斎く)」「いちしろし(著し)」などの「イツ(イチ)」がそれにあたるとされます。

「いちはやし」の「いち」もそれらと同根の接頭語で、「(神の力を思わせるほど)勢いが激しい」という意味合いになります。

「はやし」は、もともとゆ」と同根で、「はゆ(映ゆ)」「はやる(逸る)」「はやし(早し)」「はやし(林)」などといった語は、どれも「生命力を持って生き生きとする・勢いよく前に進もうとする」という含みがあります。

じゃあ、「いち+はやし」は、「(神の力のように)勢いがよい」ことと「(生命力をもって)勢いがよい」ことのコラボじゃないか。

そうですね。

そのため、第一義的には「激しい」とか「猛烈だ」などという意味合いになります。

また、「いち」が「いつくし」のもととなっていることからもわかるように、「神の力」は人間にとって厳しいものでもありますので、「たいへん厳しい」「容赦ない」という意味で用いられることもあります。

現代語だと、(3)の意味に近い感じがするね。

そうですね。

「はやし(早し)」は、その「勢いがよいさま」を、時間の流れに当てはめて使うことが多く、その場合シンプルに「早い」「速い」と訳すことになります。

「いちはやし」を時間の流れで使用している場合、その「はやさ」が「勢いよく激しい」ことになりますので、ただ「はやい」と訳すのではなく、「すばやい」「性急だ」などと訳すほうがいいですね。

ただ、この(3)の意味は現代語と同じになりますので、古文の試験で問われるとしたら、やはり(1)か(2)が多いですね。

例文

暗う家に帰りて、打ち寝たるほどに、かどいちはやくたたく。(蜻蛉日記)

(訳)暗い(時分に)家に帰って、ふっと寝ているときに、(誰かが)門を激しくたたく。

昔人は、かくいちはやきみやびをなむしける。(伊勢物語)

(訳)昔の人は、このような熱烈な風流【趣きあるふるまい】をした。

熱田神いちはやくおはしまして、おのづから笠をも脱がず、馬の鼻を向け、無礼をいたす者をば、やがてたち所に罰せさせおはしましければ、(宇治拾遺物語)

(訳)熱田神宮の神は厳しく【容赦なく】いらっしゃって、たまたま笠も脱がず、馬の鼻先を向け、無礼な態度をとる者には、そのままたちどころに神罰をお与えになったので、

なほここにはいといちはやき心地すれば、(蜻蛉日記)

(訳)(養女が結婚することについて)やはり私としては性急な気持ちがするので、

 

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★重要単語
減点されない古文