けしき【気色】 名詞

見た感じ・・・

意味

(1)(事物・物事・自然などの)ようす・ありさま・情景・兆候

(2)(人の)態度・機嫌・表情・顔色

(3)少しばかり・ほんの少し

(4)事情・わけ

ポイント

漢語「気色」の呉音読みがそのまま定着しました。

「色」ということが示すように、主に「視覚で認識したようす」を意味します。

自然現象に用いていれば、「見てわかるようす」と考えればいいですね。

人の様子に用いていれば、「態度・機嫌・表情・顔色」など、文脈に応じた訳をします。

「注意して見ているとわかること」という意味合いから、「兆候・きざし」という訳になることがあります。これは多くの場合、出産の兆候です。

「ほんの少し」という意味があるのはどうしてなんだろうね。

これは「よく見ていればわかるくらいの」というニュアンスですね。

「けしきばかり」という連語で登場することが多いです。

ああ~。

「けしき」が、「見ていればわかること」という意味だから、逆に「見ていなければわからないほどの」という感じの使い方なんだろうな。

④の「事情・わけ」という意味も、「注意深く見ていれば気づいてあげられること」という感覚から生じていると思います。

もとが「見たまんまでわかる」ということから、「見ていればわかる内面的事情」という意味でも用いられるようになっていったということだな。

そうですね。

「けしき」は、類義語「けはい」とセットで覚えることをおすすめします。

「気色」は、前述したように「見た目からわかる有様」を意味します。それに対して「けはひ」は、「気+這ひ」であり、「〈視覚以外〉で感じ取る、その場に漂っている気」を意味します。

「けしき」「けはひ」は、どちらも「ようす」と訳すことが多いのですが、微妙な意味合いが異なりますので、セットで覚えてしまうといいですね。

例文

今日、風・雪の気色はなはだ悪し。(土佐日記)

(訳)今日は、風や雪のようすがたいそう悪い。

新大納言、気色変はりて、ざっと立たれけるが、(平家物語)

(訳)新大納言は、顔色【表情】が変わって、さっとお立ちになったが、

日暮れかかるほどに気色ばかりうちしぐれて、(源氏物語)

(訳)日が暮れかかるころにほんの少し(の様子)ばかりしぐれて、